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2004年09月17日(金) 00時00分

BSE全頭検査見直し朝日新聞・

  県内の乳牛が牛海綿状脳症(BSE)に感染していた問題で、消費者や生産者の間に不安感が広がっている。国は現在、食肉処理前の牛に行われている全頭検査から「20カ月齢以下」の牛を外す方針を検討している。が、「食の安全」を守ろうと、全頭検査継続を掲げる県も出てきており、県の今後の対応も問われている。国は24日、熊本市内で消費者との意見交換会を開く。(小堀龍之)

  食肉処理されるすべての牛を対象とするBSE検査が厚労省令などに基づいてスタートしたのは、01年10月。県などは、七城町の県食肉衛生検査所など3カ所で、異常なたんぱく質の有無を調べるスクリーニング(1次)検査を実施している。

  これまでに調べた牛の数は約13万6千頭。感染牛は、この検査で10日に陽性と判定され、国立感染症研究所(東京)で13日に感染が確認された。

  その直前の9日。国の食品安全委員会は、全頭検査について「20カ月齢以下の感染牛はみつかっていない」とする報告書を厚労省に提出していた。20カ月齢以下の牛を検査から除外する案も検討している。

  今回の感染牛は99年7月生まれの62カ月。このため、国の見直し方針に直接的な影響は与えないとみられている。だが、「20カ月齢以下の若牛ではBSE感染の発見が技術的に困難なだけ」との主張もある。

  21カ月(広島県)と23カ月(福島県)の牛に感染が見つかったケースもある。こうした事情から、厚労省によると、国の見直し方針が決まった後も、独自に全頭検査を継続するかどうかを検討する県が出てきた。

  「飛騨牛」で有名な岐阜県。全頭検査を続ける方針を10日、発表した。「食の安全・安心が社会問題化している中、消費者も国の方針に好意的でない」。担当者は、そう説明する。

  日本消費者連盟(東京)の水原博子事務局長も調査方法を見直しつつ、全頭検査も維持するよう訴えている。「20カ月齢以下の感染牛は今の技術で感染が見つからないだけで、感染牛が存在しないわけではない。米国の牛肉輸入再開要請という政治的な背景もある」

  熊本県によると、これまでに検査した20カ月齢以下の牛は約5千頭。全頭調査の継続については「国の見直しが中間段階なので、まだ検討していない」という。

  食品衛生課の上口政光課長は「安全・安心という観点、科学的な観点の両面から、総合的に判断したい」という。

  厚労省と農水省は、全頭検査の見直し案などについて、全国各地で消費者や生産者などと意見交換会を開いている。24日には、熊本市手取本町のくまもと県民交流館パレアで開く。(9/17)

http://mytown.asahi.com/kumamoto/news02.asp?kiji=3791