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[小6女児殺人]「『育て方』を問いかけた家裁決定」
長崎県佐世保市の小学校で今年六月、六年生の十一歳の女児が同級生の女児を殺害した事件で、長崎家裁佐世保支部は加害者の女児を児童自立支援施設に送る保護処分を決定した。
十四歳未満の少年は、刑事責任を問われない。矯正教育の体制が整備された少年院にも収容できない。今回の決定は、こうした現行法の制約の中では、もっとも重い処分である。
女児はまだ、友人の命を奪ったことの重大性とその家族の悲しみを実感できないでいるという。決定では「普通の感情や情動を持ち、意思を伝達する方法を習得させることが必要だ」としている。
二年間の強制的措置を施すが、豊かな感情をはぐくむ教育は容易ではない。時間をかけた丹念な訓練が必要だ。
親友同士だったのに、まだ幼さの残る女児が、なぜ、こんな残忍な事件を起こさなければならなかったのか。だれもが抱く疑問である。
亡くなった女児の父親も、家裁での意見陳述で「女児の心の奥底で何があったか知りたい」と、持って行き場のない無念さを語っていた。
加害者の女児については、約三か月に及ぶ留置中、精神鑑定も行われた。家裁の決定からは、女児の心の闇に迫ろうとした努力の跡が見られる。
殺害を決意した動機は、交換ノートやインターネットのホームページへの書き込みをめぐる被害者とのトラブルだったという。だが、家裁によると、被害者には特段の落ち度はなかった。女児には精神障害と診断される程度のものもなかった、とも指摘した。
その上で、決定が強く問いかけたのは女児の両親の「育て方」である。
女児は幼児期、泣くことが少なく、おんぶや抱っこをせがんで甘えることもなかった。そのことを両親は「育てやすい子」と受け取り、女児に積極的にかかわることをしなかった。
両親の女児に対する目配りが十分でなかった。このことが「女児の抱えている困難は根深く、内面的に極めて幼い」というような、情緒に乏しく、対人関係や社会性も未発達のままで成長することにつながったという。
一九九七年の神戸市の連続児童殺傷事件でも、昨年の十二歳の少年による長崎市の幼稚園児殺害事件でも、やはり家庭における育て方の問題が指摘された。
今回の決定で真相がすべて解明されたとは言い切れない。だが、低年齢化する少年事件を防ぐためには、子供に対する親のかかわり方も重要だ。それを、改めて教えた決定とも言えるだろう。