2004年09月16日(木) 22時17分
<ヒ素汚染>茨城県が神栖町のコメ農家4軒に出荷自粛を要請(毎日新聞)
茨城県は16日、旧日本軍の毒ガスが原因とみられる井戸水汚染があった同県神栖町で収穫されたコメから、有機ヒ素化合物のジフェニルアルシン酸が検出されたと発表した。県は「食べても健康への影響は少ない」としているが、安全性が確認できるまで、収穫した4農家に今年産米13.7トンの出荷自粛を要請した。
県は、同町内で高濃度の有機ヒ素化合物が検出された2カ所の井戸の半径500メートル圏内の農業用井戸45カ所を、今年5〜8月に調査した。その結果、5カ所からジフェニルアルシン酸を検出した。さらに、この井戸水を稲作に利用していた4農家が収穫したコメを国立環境研究所(同県つくば市)に依頼して分析したところ、ジフェニルアルシン酸が検出されたという。検出量はコメ1キロあたり0.043〜0.110ミリグラムだった。
このうち1軒が家族で食べるために保管していた昨年産のコメからは、1キロ当たり0.02ミリグラムのジフェニルアルシン酸が検出された。この農家の家族5人に対して毛髪などを検査したが、ジフェニルアルシン酸は検出されなかった。昨年産のうち5.6トンは茨城県内で販売されたという。
ジフェニルアルシン酸は、旧日本軍の毒ガス「くしゃみ剤」の主成分「ジフェニルシアノアルシン」などが水に溶けてできる物質で、自然界に存在しない。神栖町では昨年3月、飲用井戸水が環境基準の450倍にあたるヒ素で汚染されているのが分かり、その後の検査でジフェニルアルシン酸が検出された。【高野聡】
(毎日新聞) - 9月16日22時17分更新
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