2004年09月16日(木) 03時34分
<窃盗>逮捕した男、泥棒マニュアル本の著者だった 奈良(毎日新聞)
今月5日、警ら中の奈良県警高田署員が、盗まれたナンバープレートを付けた車を運転していた男を窃盗容疑で逮捕したところ、窃盗の詳細な手口や空き巣対策を満載した本の著者だったことが分かった。約40年間も服役を繰り返した経験から執筆していたという。本は容疑者心理を探ろうと愛読する刑事もいるほどで、捜査員らは「まさかあの男だったとは」と驚いている。
調べでは、住所不定の無職、田岡源紹容疑者(68)。ナンバープレートは今月2日夜〜3日朝、和歌山県かつらぎ町内の駐車場で盗まれたものだったという。窃盗や詐欺罪などで約20回も服役し、今年6月に出所したばかりだった。
本は93年ごろから数冊を執筆。01年に出した「盗み方の全て」(データハウス)では、1956年の現金輸送車襲撃に始まり、▽警察署で警察手帳や制服を盗む▽弁護士と偽り企業から慰謝料をだまし取るなど、自分が起こした事件を披露している。
また、家を空ける際の防犯対策として▽音量をあげてテレビをつけておく▽犬を飼うなら玄関と裏玄関の2カ所で▽近所と親しくしておく、など14項目を列挙。さらに泥棒がしてはならない3カ条として、「放火、居直り、女性への暴行」を挙げる念の入りようだ。
この本では「悪事がいかに割に合わないか身にしみた。悪の世界から足を洗う」と語っていたが、こちらは実行できなかった模様。調べに「印税収入が80万円ほどあった」と話しているが、出所後に使い果たしたといい、捜査員に「また本を書きたい」と言っているという。
「塀の中の懲りない面々」の著者で、刑務所暮らしを経験した作家の安部譲二さんは「泥棒が実体験から手口をまとめた本は面白いね。僕も買いたい。ただ、彼はもう68歳。警官から逃げる体力も落ちているだろう。そろそろ堅気になっては」と話している。【青木絵美】
◆空き巣に入られないための注意事項(「盗み方の全て」から主なものを抜粋)
・日ごろから隣人と仲良くする
・テレビをつけて音を大きくしておくと、人が居るとあきらめる
・縁側のカーテンは開けておく。閉めると留守を証明しているのと同じ
・警備会社と契約するか、金がない場合は契約を示すマークを張る
・犬を飼うなら2匹飼って玄関と裏口に
・戸や窓を開けるとベルが鳴り響くようにするのが一番
・「猛犬注意」の張り紙は愚の骨頂。本当に飼っていればその必要なし
・模造品でも防犯カメラを取り付ける。空き巣は顔を隠していないから敬遠する
(毎日新聞) - 9月16日3時34分更新
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