2004年09月16日(木) 02時17分
加害女児 自立支援施設へ 佐世保小6殺害 行動 2年間制限(西日本新聞)
長崎県佐世保市の小六女児同級生殺害事件で、長崎家裁佐世保支部(小松平内裁判長)は十五日、家裁送致された加害女児(11)の第三回少年審判を開き、「確定的殺意を抱いて計画的に殺害に及んだ」と認定。女児を児童自立支援施設に入所させ、同日から二年間、行動の自由を制限できる「強制的措置」を認める保護処分を決定した。
これを受け、佐世保児童相談所は、全国で唯一、強制的措置がとれる女子用の児童自立支援施設「国立きぬ川学院」(栃木県氏家町)への収容を決定。女児は十六日にも移送され、更生に向けた生活に入る。
白昼の小学校内で児童がクラスメートを殺害した前例のない事件は、昨年七月に起きた長崎市男児誘拐殺人事件後に、「命の尊さ」を説いてきた教育関係者や保護者らに計り知れない衝撃を与え、発生から三カ月半で法的な決着を迎えた。
決定で小松裁判長は「女児は傾倒していたホラー小説などの影響で攻撃的な自我を肥大化させた」と指摘。唯一の「居場所」であった交換ノートやインターネットのホームページで被害女児の御手洗怜美(さとみ)さん=当時(12)=とトラブルになり、被害女児の書き込みを居場所への侵入とみて攻撃性を高めたが「被害女児の言動は殺意を抱かせるようなものではなく、落ち度は認められない」とした。
加害女児の現状として「命を奪ったことの重大性や被害者の家族の悲しみを実感できていない」と指摘。その理由として、女児にとって「死のイメージ」が希薄な点や、殺害に着手した直後に解離状態に陥ったことなどを挙げた。
人格特性については、「他者に共感する力や、親密な関係を作る力が育っていないが、特定の精神的な障害と診断するに至らなかった」と認定。怒りの感情に対し「回避するか、相手を攻撃して発散するか、両極端の行動しか持ち得なかった」とした。
女児は幼少期から一人で遊ぶことが多かったが、家族は積極的にかかわらなかったと指摘。(1)女児の家庭に資質上の問題を解消できる機能がない(2)集団処遇では他の児童に危害を加える可能性がある—ことなどから、強制的措置が必要と結論づけた。
(西日本新聞) - 9月16日2時17分更新
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