2004年09月16日(木) 01時49分
小6殺害、加害女児の自立支援施設送致を決定(読売新聞)
長崎県佐世保市の小6女児殺害事件で、加害女児(11)に対する審判が15日、長崎家裁佐世保支部で開かれた。
小松平内(へいない)裁判長は「女児の取った行動の結果は重大かつ悲惨。個別処遇が望まれ、他害・自傷の可能性がある」として、女児を児童自立支援施設に送致し、行動を制限する強制的措置を2年間認める保護処分を決定した。
小松裁判長は、女児には対人関係やコミュニケーション能力が不足していたと指摘。「怒りに対し、極端な行動しか持ち得ず、唯一安心できる『居場所』である交換ノートやインターネットへの批判に怒りを募らせた」ことが動機と認定した。
女児の付添人は審判後の会見で、抗告しないことを明らかにし、事実上処遇が確定した。送致先は、女子専用施設としては唯一強制措置がとれる「国立きぬ川学院」(栃木県氏家町)となる。
決定では、女児の特性について、幼少期から甘えることがなく、対人関係が受動的と分析。両親には「手のかからない子」と映り、ささいな表情の変化や女児の欲求を受け止めず、「積極的にかかわらなかった」と言及し、「女児の問題性を見過ごしており、養育態度は資質上の問題に影響を与えている」とした。
このため、女児は感情を受け止めてくれる他者がいるという安心感が希薄で、「怒りなどの不快感情が抑圧された」。小学4年からは怒りを認知できるようになったが、情緒面の発達の遅れから、抑圧するか、相手を攻撃して発散するかという両極端な行動しかできなかったとした。
女児には、交換ノートやインターネットが唯一安心して自己表現できる「居場所」だったが、ホラー小説などの影響で攻撃的な自我を肥大化させたところに、「ぶりっ子」など否定的表現をネット上に書き込まれたりしたため、「確定的殺意」を抱くに至ったと認定した。
女児は共感性に乏しいことから、命を奪ったことの重大性を実感できないため、感情の処理方法などを習得させる必要があると判断した。だが、集団生活では「他人に危害を加える可能性を否定できない」として、強制的措置を許可することが相当とした。
決定によると、女児は、同級生の御手洗怜美(みたらい・さとみ)さん(当時12歳)との間で交わしていた交換ノートやネットのホームページ上の記載内容を見ているうちに、自分のことをばかにし、批判しているように感じて立腹し、6月1日午後0時20分ごろ、小学校3階学習ルーム内で、カッターナイフで怜美さんの首などを切りつけ、失血死させた。
◆児童自立支援施設=非行などの問題行動を起こした児童らを更生指導する施設。以前は教護院と呼ばれた。
全国に58か所あり、職員とともに寮生活を送りながら、学習や農作業を通じて更生を図る。原則、18歳まで在籍できる。
強制措置が可能なのは国立2施設だけで、外から鍵をかけられる個室がある。
(読売新聞) - 9月16日1時49分更新
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