2004年09月14日(火) 15時04分
<付属池田小事件>宅間死刑囚の死刑執行 判決確定から1年(毎日新聞)
児童8人が犠牲になった大阪教育大付属池田小学校(大阪府池田市)の乱入殺傷事件(01年6月)で、1審・大阪地裁の死刑判決が確定した宅間守死刑囚(40)に対する死刑が14日、大阪拘置所で執行された。事件発生から3年3カ月余り。昨年9月26日の判決確定から1年足らず。宅間死刑囚は確定から6カ月以内の執行を求めていたが、今回の早期執行は、死刑存廃論議とあわせて波紋を広げそうだ。死刑執行は、野沢太三法相が昨年9月22日に就任して以来初めて。
刑事訴訟法は、判決確定から6カ月以内に執行を命令し、5日以内に執行すると定めている。しかし、数年から10年以上たって行われるのがほとんどで、宅間死刑囚のケースは極めて異例だ。
確定判決によると、宅間死刑囚は01年6月8日午前10時過ぎ、包丁を持って大教大付属池田小の通用門から敷地内に侵入。休憩時間中の南校舎1階教室などで、2年生と1年生の計8人を刺殺。このほか、児童13人と教師2人に重軽傷を負わせた。宅間死刑囚はその場で教師に取り押さえられ、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。大阪地検は精神鑑定で刑事責任能力が認められたとして、殺人、殺人未遂などの罪で起訴した。
宅間死刑囚の弁護側は大阪地裁の公判で、心神喪失か心神耗弱を主張。再度の精神鑑定が実施されたが、「情性欠如者(人間らしい良心を持たない人)ではあるが、精神病ではない」として、完全な責任能力が認められた。宅間死刑囚は一貫して事件について、反省の気持ちを表さず、法廷では「どうせ、死刑になるんだ。はやく死刑を執行しろ」などの発言を繰り返した。
大阪地裁は03年8月28日、死刑を言い渡し、川合昌幸裁判長は「離婚や父親への恨みから、自暴自棄に陥り、子どもを道連れにした」と動機を指摘。「再発防止のための真剣な取り組みが社会全体でなされることを願ってやまない」との所感を述べた。
弁護側は控訴したが、宅間死刑囚がその後、自ら控訴を取り下げたため、9月26日に判決が確定。宅間死刑囚は確定直後、弁護団に「半年以内、できれば3カ月以内の死刑執行を望む」との手紙を送っていた。遺族側からも早期執行を求める声があった。
◇福岡でも1人
また、嶋崎末男死刑囚(59)にも14日、福岡拘置所で死刑が執行された。
嶋崎死刑囚は、元暴力団組長で、借金返済などのために88年3月、元組員らと共謀し、1億円の保険金目当てに組員(当時44歳)を大分県の山中でがけ下に突き飛ばして殺害した。同6月までに、口封じのためさらに組員2人を殺し、宮崎県の山中に埋めた。
1審の熊本地裁は「死刑の適用には慎重になるべきだ」と無期懲役を言い渡したが、2審の福岡高裁は「残虐極まりなく、極刑をもって臨むほかない」と死刑を言い渡し、最高裁も99年3月、2審を支持した。
(毎日新聞) - 9月14日15時4分更新
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