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ファイル交換ソフトを転用した無料のIP(インターネット・プロトコル)電話の利用者が、日本でも広がり始めている。「スカイプ」と呼ばれるソフトをホームページからダウンロードして利用者登録すれば、マイクとイヤホンを使ってパソコンで電話ができる。同じソフトを持つ人とならば、世界中どこにかけても通話料は無料だ。
開発者は、「KaZaA」という音楽ファイル交換ソフトを開発したスウェーデンのニクラス・センストロム(38)、ジャナス・フリース(27)の両氏。KaZaAは音楽業界から目の敵にされ、米国などで著作権侵害で訴えられた。スカイプはそれを電話に応用したもので、KaZaA同様、P2Pという技術を使う。
夏井高人・明治大教授(法情報学)は「P2Pの技術を電話に用いるならば、著作権侵害の恐れはなく、KaZaAのように音楽業界などから訴えられる可能性はかなり低いだろう」とみる。またセンストロム氏側は、音声中継は暗号でおこなうので盗聴の恐れはないとしている。
センストロム氏らは昨年8月、スカイプという会社をルクセンブルクに設立。欧米を中心に1年間で1千万人の利用者を獲得した。一般の固定電話にかける場合は有料なので、現在はそれが会社の収益となっている。
日本でもソフトがボランティアによって日本語化され、今年初めから無料で配布されている。日本には同社の社員もいなければオフィスもないが、利用者は25万人程度という。
国内のIP電話加入者はすでに600万前後とされる。それに比べるとまだ小規模だが、電話会社のような巨大設備が要らないので、先行企業のビジネスを揺るがす存在になる可能性もある。
センストロム氏は、スカイプを使ったIP電話でのインタビューで「スカイプによって現在の電話がなくなるわけではないが、電話会社も自ら時代に対応しないと生き残れない」と語った。
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【P2P(ピア・ツー・ピア)】 インターネット上で、サーバーを介さずに情報を端末同士で交換する技術。著作権法違反幇助(ほうじょ)の罪で起訴された音楽ファイル交換ソフト「ウィニー」の作者も、この技術を利用していた。
(09/12 22:14)