2004年09月11日(土) 17時25分
偽1000円札 上期1万枚超 雑誌、ネットで手口広まり(毎日新聞)
拡大写真
警視庁が押収した偽1000円札(上)。一見すると見分けがつかないが、本物(下)に比べると印刷がぼやけている |
たばこや清涼飲料水の自動販売機から偽1000円札が見つかる事件が急増している。今年前半だけで1万枚を超え、昨年の倍以上のペースだ。雑誌やインターネットで偽造手口が広まり、これをまねてコピー機やスキャナーで作った偽札が目立つ。11月には新たな偽造防止策を施した新札が出るため、駆け込み的に偽造されている可能性もあり、警察や関係業界は警戒を強めている。
東京都町田市のたばこ店で4月、「しわのないきれいな1000円札」が自販機から見つかった。店員が調べると、透かしがなく印刷が微妙にずれた偽札で、約50枚に上った。警視庁は7月、美容師3人を通貨偽造・同行使容疑などで逮捕した。偽札で商品を買い、釣り銭を生活費に充てていたという。3人は雑誌に載っていた手口をまねて偽造を重ねたといい、自宅からは4700枚の偽札が押収された。
警察庁によると、全国で見つかった偽1000円札は▽00年190枚▽01年3128枚▽02年1万2637枚−−と急増した。03年は9576枚に減ったが、今年は6月末で既に1万1042枚を数えた。高額の1万円、5000円札の偽札は、昨年から減少傾向という。人目に触れない自販機で使いやすいことが偽1000円札増加の理由と警察庁はみている。
日本自動販売機工業会(東京都港区)によると、自販機には紙幣の真偽を判別する識別機が取り付けられているが、そのチェックポイントも雑誌などに掲載され、知られてしまったという。自販機業界は偽札が発覚する度に識別機を更新してきた。だが交換には数万円かかるため、すべての自販機に最新の識別機を設置できるわけではない。美容師3人組も古いタイプを狙っていたという。
財務省通貨企画調整室によると、11月に発行される新札には新たな偽造防止策を加えている。だが全面的に新札に切り替わるには2年はかかるとみられ、同会は「これからも現行の偽札が出回る可能性は高い」と警戒している。【三木陽介】
(毎日新聞) - 9月11日17時25分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040911-00000018-maip-soci