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2004年09月11日(土) 00時00分

進むスーパーの深夜化 コスト高など『24時間』に壁 東京新聞

 会社帰りに、刺し身と総菜でも買って一杯−。夜型生活の独身者や共働き夫婦が増えているのに合わせ、県内でも大手スーパーの深夜営業化が進んでいる。午前零時まで営業している店はもはや珍しくなく、今年に入って、県に二十四時間営業を届け出る店舗も増えてきた。ただ一方で、許可は得たものの実際には踏み切れずにいる業者もあり、二十四時間化は順風満帆とはいかないようだ。 (吉田 通夫)

 県内に十七店舗を展開する「たいらや北関東」は今年五月から、宇都宮市の「エーリス簗瀬店」を二十四時間営業にした。二年前までの閉店時間は午後十時、五月までは午前零時だった。

 午前一時ごろに来店した帰宅途中の男性会社員(31)は「妻も仕事で帰りが遅いし、家でちょっと食事する、という時によく寄る。コンビニより品ぞろえが豊富だから、助かるよ」。三交代勤務のサラリーマンや、近くの深夜飲食店の従業員など、深夜から未明に利用する客が増えた。村上篤三郎社長は「売り上げは前年同期より30%程度増えた」と笑顔を見せる。

 とはいえ、二十四時間化には、深夜から未明にかけて働く従業員の確保や、生鮮食品の管理、店周辺にたむろする若者の防犯対策など、いろいろな課題も立ちはだかる。こうした増えるコストに対し、いかに圧縮できるコストを見つけ、黒字にするかが大きな課題だ。

 簗瀬店では他店舗とは別の運営方式をとっている。チラシに掲載する特別な安売り商品をつくらず、チラシ担当の従業員にかかるコストをカットした。一方で売れ筋の総菜などは、午後九時以降も店頭に追加陳列するようにして、増収に結びつけている。

 それでも、七月には近所に大型ショッピングセンターが開店し、昼間の客を奪われた。村上社長は「いかに競合店と差別化するか」と、今も試行錯誤を続けている。

 一方、二十四店舗を持つ「オータニ」も今年五月、十一店舗で二十四時間営業の許可を得た。しかし、実際に二十四時間営業している店は、まだない。未明まで店舗を管理する社員を確保できるか、収支を黒字にできるか。内部検討が続く。

 野尻雄・人材開発室長は「今、スーパーはどこも価格を赤字ぎりぎりまで下げている。あとは、営業時間(の長さ)で勝負するしかない」と二十四時間化を視野に入れているが、実現の見通しはまだ立っていない。

     ◇

 県経営支援課のまとめでは、大店立地法に基づいて二十四時間営業を届け出た大型店(店舗面積一千平方メートル以上)は、二〇〇二年度と〇三年度に六店舗ずつだったのが、本年度は一気に増え、八月末現在で計二十三店舗に。このうち、二十一店舗が生鮮食品も扱う。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/tcg/20040911/lcl_____tcg_____000.shtml