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三重県松阪市の男性(59)は今年三月上旬、市内のホームセンターで、ソフトバンクグループが運営するADSLサービス「ヤフーBB」の顧客拡大キャンペーンの勧誘員からモデムを渡され、加入契約をした。
モデムは一般の電話回線につなぐことで、高速インターネットを利用できる装置。ヤフーBBは二年ほど前から、駅前や量販店など人の集まる場所でモデムを無料で渡して勧誘し、顧客の拡大を図ってきた。
この男性のケースは、モデムのほか回線工事料と接続料二カ月間分も無料との条件だった。すでにケーブルテレビ会社のインターネット接続サービスを利用していたが「使わなければモデムを返せばよい」との説明だったため、軽い気持ちで受け取り、申込用紙に住所と氏名、電話番号を書いた。結局、ヤフーBBは利用しないことにし、モデムを開封しないまま、一週間後に送り返した。
ところが、七月中旬になって、ヤフーBBから利用料金計七千六百三十円の請求書が届いた。二カ月の無料期間が過ぎた後の、五、六月分の料金だという。
料金センターに電話すると、担当者は「解約手続きをしていない。書面で送ってほしい」。男性は「書面での解約手続きが必要という説明は聞いていないので、納得できない」とし、手続きは取らなかった。すると、八月中旬に再び請求書が届き、一カ月分が加算された一万千四百四十五円を請求された。
ソフトバンクグループでADSL事業を担当する会社「ソフトバンクBB」の広報室によると、街頭でのモデム配布キャンペーンは代理店に依頼して実施し「キャンセルする場合は書面での手続きが必要と説明するよう指導している」とする。加入者に渡すモデムの箱の中に解約書類も入れてあるという。
ただ、この男性のケースでは、モデムを未開封で返却したことが確認できたため「請求は取り下げたい」とする。
全国消費者団体連合会の有田芳子さんは「競争でADSL利用料金が安くなったのは歓迎すべきだ。しかし、勧誘が過熱するあまり、説明不足で新しい消費者問題を生んでしまっているのは疑問です」と指摘している。
■集金でもトラブル
国民生活センターによると、ADSL入会キャンペーンに絡む相談事例としては、接続業者が債権管理回収会社に集金を委託し、トラブルとなったケースもある。
三十代女性が駅前の無料キャンペーンで勧誘されてモデムを受け取り、直後に接続業者に返却。接続業者から料金の請求があった時、「モデムは返却した」と伝えたところ、請求が止まった。
ところが数カ月後、法務大臣の許可を得た正規の債権管理回収会社から「委託を受け、利用代金を回収代行する」という通知が届いた。
この事例では、接続業者が債権を持ったまま、集金の業務だけを債権管理回収会社に依頼していた。
このため、同センターは、女性に対し接続業者と直接話し合うようアドバイス。契約は成立しているものの、モデムをすぐに返却し、それが無料期間中だったことから、接続業者側が女性に利用料金が発生していないと判断し、支払わずに解決した。
最近は、債権管理回収会社をかたった架空請求の被害が多い。同センターでは「このような請求は、見知らぬ業者から突然請求書が届いて消費者の不安や不信感を募らせるばかりか、横行している架空請求と区別ができない」とし、「接続業者は丁寧な説明が必要ではないか」としている。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20040909/ftu_____kur_____001.shtml