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学校のホームページが揺れている。行事などを紹介するためにホームページを作る学校は増えているが、子供が特定され、犯罪などに巻き込まれるのを避ける配慮から、子供の顔写真を載せるかどうかで、学校、自治体の判断が分かれているためだ。
「顔をぼかすなどの配慮はやむを得ない」という意見がある一方、「異様で見苦しい」との声も挙がっている。
大津市内のある小学校のホームページには学校行事の紹介コーナーに子供たちの写真が紹介されている。しかしその顔はぼかしが掛けられていたり、すべて後ろ向きだったり。「『異様な感じで見苦しい』という声も寄せられるが、個人情報保護に配慮している。今後も同様の配慮を続けたい」と担当者。
同市教委は今年7月、小中学校のホームページ作成などの指針となる「大津市教育情報通信ネットワーク運用基準」を全面的に改めた。この中で、子供の写真について「個人が特定できないように配慮する」「氏名、学年、組との同時掲載はしない」などと明記。今月から本格的に運用されている。
同市教委学務課は「子供の安全に対する意識が高まっている。写真の悪用や、子供の顔や名前などが外部に特定されることを避けたい」と説明する。
京都市教委も一昨年、学校ホームページ作成についての注意事項をまとめた。写真の取り扱いについて「アングルの工夫や加工により個人が特定できないものを使用。顔写真の掲載は必要最小限に」などを挙げる。千葉市教委なども同様の規定を設けている。
ただし、地域や学校などによって判断に差がある。東京都教委は、「顔写真を出すことを禁止しているわけではない。表彰など顔を出した方がいいケースも考えられる」と話す。
全国1万校以上を対象に、昨年から優れたホームページを表彰している「全日本小学校ホームページ大賞」事務局は「顔が出ているホームページはもちろん多い。一方で、表情の分からないものが目立つのも確か」と指摘する。
村井純・慶応大学環境情報学部教授は「子供の顔をぼかすことで、危険を避ける効果がどれだけあるか疑問が残る。ホームページの生き生きした表現が損なわれる面もあるだろう。個人情報保護との兼ね合いの中で、試行錯誤が続いている段階。今後さらに議論が必要だ」と話す。