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【孫の宣戦布告】
「いま声を上げなければ、この国の携帯電話料金はずっと高いままかもしれません」。6日の朝刊各紙に、こんな意見広告が掲載され、関係者の波紋を広げている。
異例なのは、「あなたの声をパブリックコメントへ」として、総務省総合通信基盤局電波部移動通信課あての意見提出の様式を掲載、「本日17時まで」と政府の意見募集の期限を明示し、ユーザーの“決起”を促していることだ。
広告主は、「3社の寡占状態を崩す」と意気込む孫正義氏のソフトバンクBB。グループの日本テレコムを通じ、NTTより200円格安の固定電話サービスを12月から始めることを発表した同社は、ケータイ分野でも「携帯版ADSL」といわれる新方式「TD−CDMA」の開発を進めている。
参入は「2006年ごろ」との観測が浮上するなか、総務省は先月6日、既存の事業者であるNTTドコモとKDDIだけに「800MHz」の電波帯域を再配分するとの方針を発表。これに、同社は孫氏の写真も掲載した広告で、「新規参入の道が閉ざされる」と噛みついたのだ。
【流転の王子】
「私はボーダフォンの津田に生まれ変わった」。先月、業界を震撼させたドコモ元副社長の津田志郎氏(58)がボーダフォン日本法人の社長就任という人事も波紋が広がる。
津田氏は電電公社(現・NTT)に入社し、1992年のドコモ設立当初からの“生え抜き”だった。技術畑で「iモード」や第3世代携帯「FOMA」に尽力し、2003年には米タイム誌の「世界で影響力のある20人」にも選出された。
「ドコモのプリンス」といわれ、次期社長に内定しながら、親会社NTTの意向で差し戻され、「子会社の社長に追いやられた」(関係者)。怨念の復〈劇の幕が開けたのだ。
【大逆襲】
そのボーダフォンは、旧J−フォンの「写メール」でカメラ付き携帯の先鞭(せんべん)をつけ、2002年には一時、KDDIの契約者数を上回り2位に浮上。
だが、7月末の契約数シェアで、ドコモ56%、KDDI25%(ツーカー含む)、ボーダフォン18%と3位が定位置に…。同月には初めて解約者数が新規契約者数を上回る「純減」となった。
通信アナリストは「戦略部門が海外なので現場が動けず、第3世代端末が2機種しか出せなかった」と分析する。
そこに登場したのが津田氏。「あと1年遅れていれば取り返しのつかないことになっていた。津田氏は第3世代にも強く、総務官僚や国際機関、端末メーカーとのパイプも太い。ボーダフォンには最良の選択」(前出のアナリスト)
ようやく第3世代に本腰を入れ、「10月に投入する第3世代の新機種は世界共通、低価格が武器になる」(同)。津田氏のもと、世界最大級の携帯会社のパワーが発揮されるというのだ。
【2006年問題】
各社が気をもむのは、価格破壊で殴り込みを狙うソフトバンクだけでない。
携帯電話会社を変更しても、電話番号がそのまま使える「番号ポータビリティ制度」で、総務省は2006年の実施を目指す。
ドコモとKDDIは導入に原則反対だが、ボーダフォンは逆転の好機とみて賛成する。
ITのコンサルティング会社「MCA」代表取締役の天野浩徳氏は「携帯会社を乗り換える顧客は年間1200万−1400万人いるが、番号ポータビリティ導入後は2600万−4000万にふくらむ。この顧客をどう獲得するかの戦いが始まる」とみる。
「3カ月後も予測が難しい」(天野氏)というほど動きが激しいケータイ業界。王者ドコモも安閑とはしていられず、2年後には、勢力図が激変することも予想されるのだ。
ZAKZAK 2004/09/06