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●店内にボックス
東京都江東区のジャスコ南砂店の衣料品売り場に、大きなふた付きの木箱が置かれている。自社衣料ブランド「セルフサービス」の回収ボックスだ。箱の中には、買い物客が同店で買って着古したTシャツやジャケット類が詰まっている。
「着る物って、捨てるのにすごく抵抗があるんですよね」とセーターを二着持参した主婦(41)。「衣料品のリサイクルは大歓迎。ペットボトルは買わないという選択もできるけど、服はそうもいかないから」と別の主婦(36)。
ジャスコを展開するイオンは昨年十月から三十五店で回収サービスを始め、これまでに計五千枚を引き取った。「リサイクルにつながると分かり、支持してくれる人が増えてきた」(鈴木弘三セルフサービス事業部長)と語る。同ブランドの売上高も昨年比10%以上の伸びという。
●紳士服も好調
高島屋では今月十五日から、日本橋店を皮切りに、新宿、横浜など四店で不要になったスーツなど紳士服の無料回収を始める。対象はスーツのほか、ジャケット、スラックス。高島屋以外で買った紳士服も受け付ける点が特徴だ。
高島屋では二年前、経産省と連携して日本橋店で初めて回収を実施。初回の回収実績は六百二十一着だったが、昨年は約十二倍の七千三百着に急増した。一人で八十着を持ち込んだ人がいたほか、「捨てるのはしのびない」と亡くなった夫のスーツを持参した女性もいたという。好評だったため、三年目の今年から四店舗に拡大した。
ほかにも、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングが三年前からフリースの回収をするなど、大手小売りを中心に衣料品回収の動きが出ている。
■軍手・ぞうきん…再商品化は1割どまり
回収された衣料品はどうなるのか。ジャスコも高島屋も、繊維の分別・回収の専門会社ナカノ(横浜市)が引き取り、工業用ぞうきんや軍手などに加工するほか、自動車の断熱材などの原料となる。約半分が東南アジア向けに古着として輸出される。
経済産業省などによると、一九九九年の国内の衣料などの繊維製品(衣料品以外に毛布やカーテンなどを含む)の総排出量は約二百七万トン。その約八割に当たる約百七十一万トンはごみとして焼却や埋め立て処分されている。
それに対して回収されて再商品化されるのは約二十四万トンで総排出量の一割程度。アルミ缶八割、ペットボトル三割という再利用率に比べ低い水準にとどまっている。
現在、衣料品についてはメーカーや小売店、消費者にリサイクルを義務付ける法律はなく、回収システムは未整備だからだ。経産省は、いくら回収が進んでも再利用の用途が広がらなければリサイクルにも限界があるため、当面は民間企業などに用途開発の推進を働きかけていく方針だ。
ナカノの中野聰恭(としやす)社長も「衣料品のリサイクルは用途の開発が不可欠」と主張する。古着の市場や工業用ぞうきんの需要には限りがあるためだ。イオンは今秋、回収したウールのセーターを毛糸に戻し、それで編み直したリサイクルセーターの販売を計画している。そうした再衣料化の研究・開発も今後の課題だ。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20040905/ftu_____kur_____000.shtml