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2004年09月03日(金) 00時00分

高速料金下げ ETC以外にも拡大を 東京新聞

 日本道路公団の高速道路で初めて本格的な料金値下げが今秋から実施される。対象はノンストップ料金収受システム(ETC)搭載車に限定されるが、他の利用者にも拡大すべきではないか。

 国土交通省の案によると、一般利用者とトラック運送業者など大口利用者に対して、利用実績に応じた割引を行う「マイレージ割引」を導入するほか、東京と大阪の二つの大都市近郊区間を対象に、深夜早朝割引(午後十時から午前六時まで、百キロ以内の利用で50%引き)も実施する−などとなっている。割引対象が、いずれもETC搭載車両に限定しているところが特徴である。

 ETCは設置費用が、通常一台一万五千円程度かかる。しかし、料金所での渋滞解消で「年間約三千億円の経済効果」があり、環境面では料金所周辺の二酸化炭素を約二割削減する効果があるという。

 だが全車両に対するETC設置台数(普及率)は、今年五月の統計でも約5%にすぎない。またETC利用率も約20%にとどまっている。値下げ案がETC普及促進策であることは明白だが、その前に考慮すべきことがある。

 日本の高速道路料金は欧州に比べ三倍から四倍と極めて高い。高い土地代など建設費用すべてを計上し、償還する仕組みのためだ。道路公団が高コストな「ファミリー企業」を抱えていることも一因だ。

 政府はETC普及支援策を打ち出しているが、別納割引制度を利用している物流業者などにはかなりの費用負担となる。またETCにはクレジット会社のカードが必要だが、カードを使えない人もいる。二輪車は機器を搭載できない弱点もある。

 今回の値下げ原資千八百億円は「道路公団の建設費と管理費を節減した額」という。それならばもっと値下げ原資を確保できないものか。すでに決着したとはいえ、整備計画すべてを建設する必要があるのか、見直す努力が必要ではないか。

 大都市なのに名古屋圏が深夜早朝割引から外れている。同市周辺の高速道路は、朝晩の渋滞発生回数が年間五十回以上のところがほとんどなく、深夜早朝に車利用を移動させる必要はないというのが同省の説明だ。しかし現実に渋滞は多い。これでは地方軽視だ。

 今回の値下げ案は小幅すぎる。日本の高速道路の無料開放は来年秋の民営化から四十五年後、二〇五〇年まで実現しないことになる。政府・公団にはもっと料金を下げて、「使いやすい料金の高速道路」を実現していく努力を求めたい。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040903/col_____sha_____003.shtml