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2004年09月03日(金) 00時00分

おれおれ詐欺被害2億円突破 巧妙化する手口 犯人特定困難に 東京新聞

 親族やその関係者になりすまして金をだまし取る「おれおれ詐欺」の被害が相次いでいる。県警によると、昨年三月に“県内第一号”のおれおれ詐欺を認知してから、今年七月末までの被害は三百件以上、被害総額は二億円を超えている。被害はなぜ、なくならないのか−。被害に遭わないのが一番、と県警は注意を呼び掛けている。 (布施谷 航)

 「オレオレ詐欺が多発!」「振り込む前に確認を!」−。常陽銀行のATM(現金自動預払機)の画面。現金の振り込みや引き出し、振り替えなどの手続きをすると、こんな表示が現れる。

 県警から「おれおれ詐欺防止対策」の依頼を受け、常陽銀行は県内すべてのATMで詐欺防止の表示を始めた。県警はほかの金融機関にも同じ依頼をしている。“水際”での予防に乗り出さなければならないほど、本県でのおれおれ詐欺の被害は深刻化している。

   ◇

 県警捜査二課によると、県内で起きたおれおれ詐欺の被害は昨年、未遂を含めて百六十件。今年はこれを上回るペースで発生しており、七月末までに百七十件を認知している。昨年三月から今年七月末までの総被害額は約二億三千六百万円にのぼる。

 「おれおれ詐欺」の報道が続く中で、なぜ被害者が続出するのか。県警は、犯人グループの手口の巧妙化が背景にあると指摘する。被害が出始めた当初は、一人の男が孫を装って「事故を起こした。金を振り込んでほしい」などと泣きじゃくり、お年寄りから金をだまし取るというのが典型的なパターンだった。

 しかし最近では、「夫」や「弟」「警察官」などが登場し、役割分担をした上で、「事故で妊婦が破水した」「子宮外妊娠をした」など、もっともらしい理由をつけるケースも見られる。

 県警では、何らかの方法で入手した名簿を利用して被害者の親族の名を名乗る手口もあると見ている。こうした手口の悪質化に伴い、被害者の年齢層も、お年寄りだけでなく、四十−五十代にまで広がる傾向も出ているという。

 捜査を逃れる手段も狡猾(こうかつ)だ。犯人グループは(1)プリペイド携帯電話か、不正に入手した携帯電話を使用して連絡を取る(2)不正に入手した振り込み口座に現金を振り込ませる−といった手を使う点でほぼ共通しており、これもいっそう、犯人の特定を困難にしている。

 これに対し、県警は「詐欺被害に遭わないことがもっとも重要」と防犯に力を入れている。ATMでの表示もその一環だ。

 県警幹部は「本人にすぐに確認をする」「不審な点があったらお金を振り込まない」などのポイントをあらためて指摘した上で、「いつでも自分が犯罪に遭う可能性があることを覚えておいてください」と訴えている。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/ibg/20040903/lcl_____ibg_____000.shtml