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2004年09月03日(金) 00時00分

架空請求詐欺が巧妙化、法務省認可など語り朝日新聞・

 債権があるように見せかけ、多額の現金をだまし取る架空請求詐欺。昨年末から、法務省や法務局に認可された債権回収会社を名乗る手口が出始めた。一見すると「本物」に見えるなど巧妙で、新潟地方法務局にも、毎月30件ほどの問い合わせや苦情が寄せられている。同局は「請求があっても一切無視し、警察か消費生活センターに相談してほしい」と呼びかけている。

 ◆「返金されます」
  今年7月、新潟市の女性会社員(31)宅に、法務局認可特殊法人「日本債権センター」からはがきが届いた。差出人住所は東京都霞が関。「電子消費料金未納分を回収業者から委託されたのでご連絡ください」などと書かれていた。

 女性はインターネットを始めたばかりだった。知らずにかかってしまったインターネットの使用料金かと思い、はがきの電話番号にかけた。

 電話に出た男は「未納金は3721円です」。高額でなく安心したが、男はさらに「裁判を取り下げるために、すぐ39万円を国選弁護人の口座に振り込んでください。39万円は手続きが終了すれば返金されますのでご安心下さい」と続けた。

 「返金されるなら」。女性は、自宅近くの銀行から、東京都内の信用金庫の口座に全額を振り込んだ。

 その50分後、女性宅に男から電話がかかってきた。「債権会社に、ヤクザ絡みの債権がありますね。こちらの裁判も取り下げるためには、あと136万円を別の弁護士の口座に振り込まないと。これも返金されます」という。女性は、指定された群馬県内の都銀の口座に振り込んだ。

 相手は、常に「返金」を口にしていた。

 女性は、銀行の窓口で「詐欺ではないか」と声をかけられた。振り込んだ後、友人と相談したところ、「やはりおかしい」と気づき、消費生活センターに。「日本債権センター」は、過去何度も架空請求に使われた団体名だった。女性は新潟東署に被害届を出した。

 ◆専門用語を多用

 「オレオレ詐欺」や架空請求の被害件数は、最近やや減少傾向にある。だが、県警は「手口の巧妙化、被害金額の高額化が目立つ」と警戒を強めている。

 新潟地方法務局によると、架空請求に関与したとみられる団体名は「日本債権センター」のほか、「特殊法人日本情報管理センター」「法務省認可特殊法人東京財務管理局」など。いずれも実在の債権回収会社に似ていたり、法務省などの関連があるかのように表記があるという。

 また、はがきには、十数けたの「管理コード」がある。「給料差押え及び、動産物、不動産差押えを強制執行」「当局と行政執行官による執行証書の交付」「電子消費者契約民法特例法」など、「専門用語」の中に、でたらめな法律を織り交ぜているのも特徴だ。

 ◆地道に注意喚起

 振り込み口座は架空名義で、記載された住所には、無関係な企業などがある。

 新潟地方法務局は「被害にあっても、こちらでは何の措置も取れないのが現状です。地道に注意喚起していくしかない」と話している。(9/3)

http://mytown.asahi.com/niigata/news02.asp?kiji=6461