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アテネ五輪でNHKは、携帯電話向けのメールサービスを使って日本選手のメダルラッシュを速報した。「番組の広報」とするNHKは、受信契約を結んでいるかどうかにかかわらず、申し込んだ約3万人に無料で提供した。同様のサービスは新聞社や通信社もすでに行っている。日本新聞協会メディア開発委員会は「他のニュース分野にも広がると、先行する民間サービスを圧迫することになる」と懸念している。
女子マラソンで野口みずき選手がゴールした数十秒後の日本時間23日午前2時27分、横浜市の自宅で寝ていた男性の携帯電話が鳴った。
〈野口逃げ切って金メダルを獲得!日本女子マラソン史上2つ目の金メダル、おめでとう!(中略)感動をもう一度!総合(午前8:35〜)で放送予定〉
NHKの「オリンピックメール」だった。
サッカーや野球などの球技では「ゴールメール」「イニングメール」を提供。毎朝6時に、最新の日本選手結果一覧も送った。その日の放送予定を知らせる「みどころメール」の最後には、「アテネの感動は、あなたの受信料から!」と流した。
サービスを受ける方法は、携帯電話からNHKにメールを送って登録するだけだ。アドレスは、NHKの五輪番組で繰り返し放送された。
NHKマルチメディア局の宮崎経生・統括担当部長は「民放とあわせて約180億円の放送権料を払っている以上、一人でも多くの人に見てもらいたい。番組のPRや応援メッセージの募集が狙いだ。NHKが弱い若年層へのPRになればと考えた」と説明する。
NHKは速報競争をするつもりはなかったとしているが、競合した有料の民間サービスより速いケースが目立った。
携帯メールによるニュース速報は、新聞社や通信社が月額100〜200円程度かかる有料ニュースサイトで、登録者向けにすでに始めている。
NHKが同様のサービスを無料で行うことについて、日本新聞協会のメディア開発委員会は五輪前の8月上旬、総務省に対して、「民間サービスの圧迫につながるおそれがある」と見解をただした。
総務省は02年に「NHKのインターネット利用に関するガイドライン」をまとめているが、携帯電話メールによる情報提供については触れておらず、明確な指針は今のところない。
このため、総務省はNHKから事情を聴き、「番組広報の一環」とのNHKの見解を新聞協会側に伝えたという。
メディア開発委員会委員長を務める箕浦啓進・東京新聞メディア局長は「NHKは番組の広報というが、実態はニュース速報だ。黙認されると、今後スポーツに限らず、他の分野のニュースにも広がっていくおそれがある」と話す。
有料の携帯サイトで同様の速報メールサービスをしている時事通信社は「NHKが公共放送以外のインターネットや携帯電話向けに、無制限にサービスを拡大していくことには懸念を抱かざるを得ない」という。
NHKは今年1月に発表した3カ年計画で、積極的に検討するデジタル時代の新サービスの一つとして、「携帯端末の活用」をあげている。
新聞協会のある関係者は「今回のケースを番組広報と認めれば、『今夜の7時のニュースを見よう』と銘打って、携帯電話向けのニュース速報を無料配信することもできてしまう」と話している。
(09/01 00:26)