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2004年09月01日(水) 23時44分

政府管掌健康保険のレセプト情報9000人分が流出読売新聞

 社会保険庁は1日、政府管掌健康保険の診療報酬明細書(レセプト)に記載された個人情報が、神奈川社会保険事務局からデータ入力作業を委託された業者を通じて外部に流出していたと発表した。

 漏れたのは、昨年6—8月に受診した患者の氏名や傷病名などで、最大で約9000人分に上るとみられる。同事務局がデータを業者に渡す際、個人情報の消し忘れを見落としており、年金加入記録の業務外閲覧で批判を受けた同庁のずさんな情報管理体制がまた浮き彫りになった。

 同庁によると、神奈川社会保険事務局では、レセプトの基本情報を電子データ化するための入力作業を都内の業者に委託。同事務局では、入力業者にデータを渡す前、厚生労働省所管の財団法人「医療保険業務研究協会」に、被保険者の氏名や生年月日、傷病名などを消す作業を委託していたが、同協会は一部を消し忘れたまま同事務局にデータを返却。同事務局はチェックを怠り、ミスに気付かないまま、入力業者にデータを渡した。

 この業者は、情報の守秘義務があるにもかかわらず、別のシステム開発業者にレセプトの個人情報を提供。システム開発業者は、提供された個人情報を、データ入力業務を行う在宅ビジネスの研修用に使用していたが、今年7月、在宅ビジネスの応募者から関西地方の消費生活センターに苦情が寄せられ、発覚した。

 これを受けて同庁が8月、全国の社会保険事務局に指示して同協会の各支部に立ち入り調査を実施したところ、計29都府県の各支部で個人情報の消し忘れが確認された。同庁では、これらの支部からも個人情報の流出がなかったかどうか調査を急いでいる。

 同庁運営部では「ずさんな手続きが重なり、個人情報が流出という重大な事態を招いてしまった。今後、適切な情報の管理を指導する」と話している。

 同庁では、国民年金のCMに起用された女優の江角マキコさんや国会議員の年金未納問題をめぐり、約330人の職員が個人の年金加入記録を業務外で勝手に閲覧していたことが今年7月に判明。

 ほかにも東京・目黒社会保険事務所の係長の自宅から年金加入者のデータが見つかるなど、情報管理の甘さが次々と明らかになっていた。
(読売新聞) - 9月1日23時44分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040901-00000415-yom-soci