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来年4月の個人情報保護法本格施行を前に、情報漏洩(ろうえい)対策に企業が頭を悩ませている。大量の個人情報が流出すると、多額の損害賠償がふりかかってくる恐れがあるからだ。大規模の漏洩事件が相次ぐ中、社員やアルバイトの教育などを徹底する一方、損保各社から売り出された「漏洩保険」にも人気が集まる。
東京都中央区。食品メーカー役員の一日は、顧客の氏名や住所、電話番号が載った注文伝票をシュレッダーにかけることから始まる。顧客名簿は数千人にのぼる。
昨年6月、大手コンビニチェーンから50万件以上の会員情報が漏れた。「体力のある大企業と違い、中小企業は信用がすべて。数十件でも漏れたら再起不能だ」
社員数十人の小所帯。迷った末、メールアドレス以外の個人情報は、商品到着が確認され次第、処分することにした。「今後は顧客情報を蓄えることがリスクになる」
CD、ビデオのレンタル店を営む1100余りの法人・個人が加盟する日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合は、個人情報取り扱いに関するガイドラインの改訂を急いでいる。
個人情報保護法の本格施行に向け、会員からの問い合わせが急増している。会員の大半は数千〜数万件の顧客情報を持つ。レンタル時の本人確認に免許証を使うケースが多いが、免許証には本籍まで載っている。「情報が漏れて、仮に100人の客からクレームが来たらパンクする」
免許証コピーの本籍部分などを塗りつぶすような細かい対応が必要になるが、「バイトに頼る店が多いのでその教育も課題です」。
経済産業省の外郭団体日本情報処理開発協会が消費者の個人情報を適切に保護している企業に与える「プライバシーマーク」。6年前の発足以来、800社余り。今年度はすでに120社以上が取得した。「取得が入札条件になっている場合もある」(同協会)
この流れは、ビジネスチャンスでもある。損保各社は今年に入って、情報漏洩の損害賠償費用などを補償する新商品を相次いで発売した。
「反響は抜群」と、三井住友海上火災保険。6月の発売以降、契約は毎月約100件にのぼる。
賠償限度額は最高3億円。社員の不正による漏洩でも補償するのが特徴だ。謝罪広告費までカバーする特約もある。
今年に入ってソフトバンクBBの約660万件を筆頭に、三洋信販の約116万件、コスモ石油の約92万件、阪急交通社の約62万件など大規模な漏洩が相次いでいる。
大規模な漏洩としては、京都府宇治市の住民基本台帳データ約21万件が流出した問題で、市民3人に計4万5千円を支払うよう命じた判決が確定している。
エステサロン大手のTBCから約5万人分の顧客情報が漏れた事件では、身体のスリーサイズなど細かい情報までネット上に流出したため、1人100万円の慰謝料などを求める集団訴訟が起こされている。
(09/01 06:08)