2004年08月31日(火) 21時09分
ソフトバンク、固定電話サービス開始へ、NTTより安い基本料(MYCOM PC WEB)
ソフトバンクは、同社グループの日本テレコムが保有する通信網と通信設備を用いた固定電話サービス「おとくライン」を2004年12月1日から提供する、と発表した。基本料金をNTTより200円安くするほか、日本テレコムの通常通話料金と比べ、企業向けで最大55%、個人向けで最大50%割引きする。このサービスは日本全国で提供する意向で、開始当初は1,000局舎、2005年中をめどに3,500局舎まで拡大する予定だ。ソフトバンク・グループでは9月1日から「おとくライン」の予約販売を開始する。
「おとくライン」は、NTTが所有しているものの使用はしていない回線、いわゆる「ドライ・カッパー」を活用する。NTT局舎内に日本テレコムが設置した交換装置とユーザー宅をこれにより接続、これらの装置間は同社の独自通信網で結ぶしくみで、NTT通信網には依存しないため、基本料金が安くできるという。電話料金と基本料金は、日本テレコムにだけ支払うことになる。
ユーザーは既存の電話番号をそのまま使用できるとともに、従来、新規加入の際必要であった「電話加入権(7万2,000円)」は不要で、緊急通報、プッシュ電話、発信番号通知、ダイヤルイン、着信転送など既存の固定電話が備える機能も利用でき、固定電話、携帯電話、PHS、国際電話、IP電話などへも通話が可能だ。
また、新サービス開始にあたりキャンペーンを実施、ユーザーが事前に指定した3つの電話番号への通話料をサービス開始月から1年間無料にするほか、特定時間帯(事務所向けは平日19時〜23時、住宅向けは土日祝日19時〜23時)に発信した市外通話分について、サービス開始月から1年間通常の通話料金から9割引とする。さらに、プッシュ電話、発信番号通知、ダイヤルインなどの付加サービスの工事費、月額料金、新規申込みの際の日本テレコム工事費1,050円(税込)が無料になる。ただし、NTT工事費用の負担金として月額100円が3年間必要になる。
ADSLサービス、Yahoo!BBへの着手以来、通信事業者としてまっしぐらに突き進んでいるソフトバンクは、この7月末に日本テレコムを買収した。これは同社の通信事業が「次の段階に進んだ」(孫正義社長)ことを示すものだった。ADSLだけでなく、総合的な事業者になることを志向、FTTH、携帯電話なども視野に入っているが、今回のサービスはこうした「総合化」の第1弾だ。
1985年の通信自由化以降、新電電各社が通信事業に新規参入、これら各社とNTTの競争により「約20年間で通話料が10分の1以下に縮小している」(ソフトバンク)。しかし、新電電のサービスは通信中継事業であり、固定電話利用者と通信回線との接点はNTT地域会社が握っていることから、ユーザーの多くは基本料金をNTT地域会社に、通話料を通信中継会社にそれぞれ別途に支払う形式だった。そのため基本料金は競争状態にならず「10%増加したのが現状」(同)だ。今回の同社の試みは、ここに風穴を開けようというものだ。NTTに大きな影響を及ぼすのは必至だろう。
(大川淳)
ソフトバンク、日本テレコムを約3,400億円で買収
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2004/05/28/001.html
日本テレコム
http://www.japan-telecom.co.jp/
ソフトバンク
http://www.softbank.co.jp/
(MYCOM PC WEB) - 8月31日21時9分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040901-00000095-myc-sci