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■普及へ制度化が課題
家電量販店ビックカメラの東京・有楽町店のエアコン売り場。すべてのエアコンにＡＡＡ、ＡＡ、Ａといった格付けを大きく印刷した封筒大のラベルが張られている。同社の担当者は「視覚的にお客さまに分かりやすく、店員も説明しやすい」と話す。
格付けラベルは省エネ性能が高い製品から順にＡＡＡ、ＡＡ、Ａ、Ｂ、Ｃ−の五段階で相対評価する。エアコンは六年前に最も性能が高かった製品を基準にしているので、ＢやＣは見られない。
今夏、この「格付けラベル」をエアコン、冷蔵庫、ブラウン管テレビの三品目（テレビを除く二品目の地域もある）に張ってもらおうと、家電販売店への協力を働き掛けたのが、関東、長野県、京都府、高知県の計四団体。関東と長野は行政、京都と高知はＮＰＯ主導の団体だ。
四団体などでつくる「省エネラベルキャンペーン運営協議会」事務局の東京都都市地球環境部によると量販店を中心に四地域で約六百九十店の協力を得られたという。
国が省エネラベルを制度化したのは二〇〇〇年八月。現在、エアコン、冷蔵庫、蛍光灯など十三品目を対象とし、メーカーや販売店に表示を勧めている。例えばエアコンなら、一キロワットの電力で、どの程度の冷暖房能力が発揮できるかという「エネルギー消費効率」の基準を定め、その達成具合をパーセントで示す。
「ｅ」の文字を丸くデザインしたマークを添えて、達成率が１００％以上ならマークは緑色、１００％未満ならオレンジ色になる。また、この達成率の数字を、１２０％とか１５０％などと表示している。
ただ、達成しているかどうかは色ですぐ分かるが、達成した製品同士の優劣は、パーセントを比較しなければならない。その売り場にある製品の最高が１５０％でも、別の店には２００％の製品があるかもしれないし、年ごとに達成商品が増えると、色の区別は意味を持たなくなる。
そこで東京都は〇二年夏、ＡからＤまで四段階で省エネ性能を表示する「格付けラベル」を考案し、エアコンと冷蔵庫に張るキャンペーンをした。京都でも〇三年春、市民団体が五段階の格付けで同様のキャンペーンをした。
しかし、格付けの区分やラベルのデザインが地域によって異なると消費者の混乱を招きかねないため、今春に東京と京都でデザインを統一、今夏には高知や長野なども加わって、格付けの区分も統一した。
五月末時点で販売されている製品で、達成率が１００％以上のうち、上位１０％を「ＡＡＡ」、次の４０％を「ＡＡ」、残り５０％を「Ａ」とし、達成率が１００％未満のうち上位７０％を「Ｂ」、残り３０％を「Ｃ」とした。
販売店が独自に格付け表示をする動きもある。エディオン傘下の量販店エイデン（名古屋）とデオデオ（広島）は、今年七月、五段階の格付けラベルを導入。エアコン、冷蔵庫、ブラウン管テレビは協議会の基準に合わせたが、協議会の基準がないガス調理機器、照明、シャワートイレは独自の基準で決めた。
協議会の格付けは、シーズンごとの「キャンペーン」の形。これを定着させるため自治体が制度化する動きも出始めた。京都市は今月十二日、表示を義務づける条例案のたたき台を公表。東京都は年内に制度案を固め、公表する方針だ。
東京都都市地球環境部の担当者は「全国で格付けラベルを張るようになれば、メーカーが、より省エネ性能の高い商品を作る動きにつながる。国も格付けを制度化をするべきだ」とする。
しかし、メーカーは格付けラベルに否定的だ。家電製品協会は「例えば同じ『ＡＡＡ』でも、品目によって達成率は異なるため、消費者の混乱を招く」と話す。
資源エネルギー庁エネルギー対策課は、省エネラベルを制度化する際に「格付け」を導入しなかった理由について「製品のモデルチェンジが多い日本では、なじまないから」と説明。格付けの動きについて「業界の反発もあり、状況を見ている段階。消費者に分かりやすいなら、国の制度にするのも選択肢の一つ」と話している。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20040830/ftu_____kur_____000.shtml