悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。
また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。
薬局などでしか認められていない医薬品の販売が、インターネット上で増えている。ネット販売をビジネスモデルとした企業が急成長し、東証マザーズに上場。この手の商売をする業者は100社にのぼるともいわれる。コンビニで売れる薬の範囲をめぐって、厚生労働省と業界で激しい綱引きがあったばかり。新手のビジネスに法律は対応できず、厚労省はこれといった効果的な手が打てないまま、困惑している。
「普通の薬屋ではスペースの限界があるが、ネットにはない。品ぞろえは10倍以上」。健康関連商品のネット販売を主な事業とする「ケンコーコム」(東京都港区)の後藤玄利(げんり)社長は、最近の業績の伸びをこう分析する。
同社は、健康食品を中心に、化粧品、日用品など約2万4000点を用意。00年5月に50点からサイトを立ち上げて以来、売り上げは伸び続け、今年3月期決算では22億8000万円を計上した。うち医薬品の売り上げは約5%になる。
同社が東証マザーズに上場したのは6月16日。ネット商法が好感され、公募価格の2.4倍にあたる80万円の初値をつけた。
医薬品は、福岡県飯塚市で一般販売業の免許を取得し、流通センターを設立。そこから解熱鎮痛剤など1300点余りを発送している。妊娠検査薬や水虫の薬など、薬局のレジで手にするのが少しためらわれる商品が売れ筋で、1日に約7万人がサイトを訪れる。
同社によると、薬をネットで販売している業者は、確認できただけでも100近くあるといい、「確認できないのも含めれば、もっとあるかもしれない」。江戸時代に創業したという老舗(しにせ)から、商店街の小さな薬局など、業態は様々だ。
こうした状況に苦虫をかみつぶしているのが、厚労省だ。ネット販売できる医薬品は、旧厚生省が88年に出したカタログ販売を規定した通知を援用して範囲が定められている。しかし、実情はその範囲を超えて、かぜ薬などを扱っているからだ。薬局でも扱いが厳しい指定医薬品を売っている業者もある。
厚労省は、ケンコーコムに対し、地元の福岡県庁を通じるなどして「何度も指導をさせていただいている」という。
同社の後藤社長は、ネットの特性上、客の販売履歴を管理することが可能で、副作用が出ればすぐに連絡ができることから、「リアルな店舗だから安全で、ネットだから危険というのはおかしい」「消費者から見れば胃腸薬はよくて、かぜ薬がなぜだめなのか分からないと思う。我々は新しい流通を提案していく」などと引かない。
行政だけでなく、ライバルも厳しい視線を向ける。「マツモトキヨシ」など209社でつくる「日本チェーンドラッグストア協会」の宗像守事務総長は言う。「ネット販売で売れる薬の範囲があいまいなのはおかしい。白黒はっきりさせてほしい。こういうやり方が可能なら、こちらもやらせてもらいたい」
会員からは、不満の声が漏れているという。
(08/28 21:25)