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2004年08月29日(日) 03時03分

白血病治療のさい帯血移植、がん化4件 提供者に告げず朝日新聞

 白血病などの治療で、さい帯血移植を受けた患者4人が、提供者の細胞が、がん化して新たに発病したことが28日、日本さい帯血バンクネットワークの委員会に報告された。提供者の細胞のがん化は骨髄移植では知られ、さい帯血でもその可能性は予測されていたが、明らかになるのは初めて。ただ、バンクは提供者自身が発病するとは限らないため提供者に知らせない方針を決めた。

 4人は30〜50代で、01〜03年に白血病などの治療のために、さい帯血移植を受けた。4人とも移植は成功したが、8カ月から1年4カ月で発病。うち3人は死亡している。

 がん細胞の染色体などを調べたところ、提供された細胞ががんになっていたことがわかった。

 さい帯血は赤ちゃんのへその緒からとる。白血球や赤血球を作る造血幹細胞が豊富で、現在は骨髄とともに白血病をはじめ血液の病気の治療に用いられている。さい帯血移植を受けた人は7月末現在、1826人いる。

 提供された細胞のがん化は骨髄移植では70年代から知られていた。しかし、さい帯血を提供してもらう段階ではこうした可能性は提供者側に説明されておらず、どこまで伝えるか、専門家の間でも意見が分かれている。

 今回の方針の背景には(1)移植患者の体内で提供者の細胞ががん化したからといって、提供者自身が必ずしも白血病になるわけではない(2)仮に発病するとしても、早期診断や予防は難しい——などがある。

 バンクでは、提供者側の「知る権利」と「知らないでいる権利」を比較し、「現時点では伝えることで生じる不安や混乱が大きい」と判断した。

 今後、提供を受ける際に発病などの可能性をどこまで知りたいかを家族に確認するという。(08/29 03:02)

http://www.asahi.com/science/update/0829/001.html