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「三匹の子豚」や「カルネアデスの板」を使う教師もいるそうだ。学校で「法教育」の授業をする際の題材の話◆子豚の家に煙突から侵入しようとした狼（おおかみ）が、煮立った鍋に落ちて死ぬ。それを子豚が食べてしまうという怖い話だ。「どちらが悪いか」を生徒たちに論議させる◆もう一方は、古代ギリシャの哲学者が投げかけた問題だ。船が難破して二人の船員が海に投げ出された。流れてきた一枚の板切れを争い、一人が相手を水死させてしまった。「生き残った船員は、罪に問われるのか」◆義務教育の段階から子供に法律や裁判の基本を教えようという試みが広がっている。国や弁護士会が音頭をとり、教材作りも進む。法が社会のルールであることを教え、順法精神や規範意識を養おうというのだ◆先日、東京で弁護士会主催の法教育模擬授業を見た。冒頭の子豚は殺人（殺狼？）罪か正当防衛かを子供たちによる裁判形式で議論していた◆そういえばあの事件。あの子供がもしこんな授業を受けていたなら——。法教育の可能性に期待しつつ、そんなことを考えた。