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2010年代に国内の固定電話網をすべてIP(インターネット・プロトコル)電話に切り替える、という目標を総務省が掲げる。実現のための研究開発に、05年度から5年で100億円を投じる方針。従来の固定電話の利用者が減るのに対し、主にブロードバンド(高速大容量通信)網を使うIP電話は料金の安さで利用者を増やしているうえ、テレビ電話やデータ伝送など利用法も広がるためだ。
総務省はまず、05年度予算で20億円を概算要求。(1)110番など緊急通報ができない場合がある(2)違う事業者間でつなぐと音質が落ちる(3)ウイルス攻撃に弱い、などのIP電話の弱点を克服するための技術を育て、NTTなどの通信事業者に完全移行を後押しする。海外では英大手のBTが08年までの全面切り替えを打ち出している。
国内最大の電話事業者であるNTTの固定電話の加入数は、6月末時点で5995万回線と、携帯電話の8271万を下回る。このためNTTはすでに02年、1台数億円かかる既存の電話交換機の更新を停止し、補修などにとどめている。
法人向けでIP電話に参入したNTTも、まだ完全移行方針は表明していない。それでも総務省は、既存交換機の耐用年数などを考えると、10年代の完全移行が可能とみている。
IP電話の加入数は現在600万前後と推計される。これが、NTT参入などで07年末には2788万回線まで増える、と市場調査会社の矢野経済研究所は予測する。
NTTの従来の固定電話料金は市内3分で8.5円。これに対し、IP電話は、たとえばソフトバンクグループの場合、加入者同士なら無料で、従来の固定電話にかけても国内どこでも3分7.5円だ。
IP電話に必要な通信機器「ルーター」は1台数千万円と、固定電話用の交換機の約10分の1で済み、利用料金を低く設定できる。完全にIP化すれば、料金はさらに下がる可能性がある。
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〈キーワード・IP電話〉 インターネットで音声や画像などのデータを効率的に伝送する技術を使い、距離とは関係なく全国一律の料金設定が可能だ。フュージョン・コミュニケーションズが、固定電話回線網の長距離部分をIP化し、01年に全国一律3分20円で開業したのが最初。02年にソフトバンクグループがすべての回線をIP化した「BBフォン」を始めて以後、利用者が急増した。NTT東日本・西日本は03年に法人向けで参入した。(08/25 16:55)