2004年08月24日(火) 17時47分
佐賀商工共済破産 被害者弁護団、県と役員らを提訴へ−−破たんから1年 /佐賀(毎日新聞)
◇「もう待てぬ」−−被害者弁護団、説明会で原告募る
03年8月に約59億円の負債を抱えて破産した佐賀商工共済協同組合(水田唯市理事長)の被害者弁護団は23日、組合が事実上経営破たん状態にありながら粉飾決算を繰り返し組合員からの預金を受け続けたとして、経営陣と監督官庁の県を相手取り、9月末にも佐賀地裁に損害賠償訴訟を起こす方針を固めた。【宮本尚慶】
弁護団は、破産当時の経営陣だけでなく、粉飾決算にかかわったとされるすべての役員を提訴する方針。この日会見した松田安正団長は「破産状態を知りながら隠したこと自体が明白な詐欺であり、県や経営陣の責任が否定されることはない」と自信をのぞかせた。
弁護団は当初「被害者が数千人規模に及んでおり、訴訟で争うのは非現実的」として、法廷闘争に持ち込まずに“政治決着”を求める構えだった。背景には「捜査当局が経営陣の行為を詐欺と認定すれば、県も連帯賠償責任を免れないはずだ」との思惑があった。
だが破たんから間もなく1年。被害者から「資金繰りも切羽詰まっている。これ以上待てない」との声が強まり、弁護団も「捜査の展開をただ見守るわけにはいかない」と判断。9月8日、県側と交渉し、組合員の債権を買い取るよう最後の説得を行い、県がこれまで通り応じない構えを崩さなければ提訴に踏み切ることにした。
県は今年2月に発表した独自調査の結果で、約16億円の累積赤字や粉飾決算を96年時点で把握しながら事実上放置していたことについて「法的責任はない」と結論づけている。このため県が歩み寄りを見せる可能性は極めて低く、賠償問題が法の裁きに委ねられることは確実だ。
被害者からの参加を募るため、31日午後6時半から、佐賀市民会館と鹿島市民会館で説明会を開催。訴訟手続きや費用、見通しなどについて弁護団が説明し、9月から原告団の受け付けを始める。集まった原告団の被害債権総額を請求額とする予定。
県商工課は「今後の対応は9月8日の交渉の場で明らかにしたい」としている。
8月24日朝刊
(毎日新聞) - 8月24日17時47分更新
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