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2004年08月23日(月) 02時33分

8月23日付・読売社説(2)読売新聞

 [車リサイクル]「懸念すべき問題が多すぎる」

 「自動車リサイクル法」が、来年一月から施行される。

 家電や容器包装など、すでに施行されている各種リサイクル法の総仕上げになる。有効に機能すれば、目指すべき「循環型社会」の軸となるものだ。

 だが、懸念すべき問題点が多い。ユーザーが支払う巨額のリサイクル資金を預かる財団法人の組織のあり方や運営、資金の管理・運用などが、極めて不透明だからだ。

 このリサイクル法では、廃車後、回収や再利用が難しい破砕くず、エアコン内のフロン類、エアバッグの三品目について、自動車メーカーなどが、処理・再資源化の義務を負う。そのコストをユーザーが負担し、新車購入時や車検の際にリサイクル料金として支払う。

 例えば、小型乗用車が1万円前後、普通乗用車は1万円程度から1万数千円の料金幅だ。国内の自動車の台数は約七千万台で、使用済みの自動車は年間約五百万台に上る。ユーザーが先払いする料金は優に1兆円を超す。

 巨額の預託金は、経済産業省と環境省が、資金の管理団体として指定した財団法人「自動車リサイクル促進センター」が管理する。当然、経産、環境両省は、資金管理法人に強い影響力を持つ。資金管理法人が、官僚の新たな天下り先になる可能性がある。

 資金管理法人は、預託金から廃車の解体、処理の際、メーカーなどにリサイクル費用として渡す。だが、それは一部で巨額の預託金が手元に滞留する。

 さらに、年間百万台になる中古車の輸出の際、リサイクル料金の還付請求がなければ、資金管理法人の剰余金として増え続ける。

 膨大な資金の使途や運用については、離島で発生する廃車の運搬費用、国債購入などが決まっているだけだ。不明朗な管理・運用がまかり通り、不祥事の温床になる恐れもある。

 資金運用など重要な決定は、学者など七人で構成する、外部の「資金管理業務諮問委員会」の審議を受けることになっている。だが、委員会に強制的な調査権限があるわけではない。ユーザーが納得できる、適正な管理・運営が担保できるか、大いに疑問だ。

 メーカーはすでに、リサイクルコストを下げるため、解体や処理しやすい車作りを始めた。だが、将来、コストが下がった場合でも、ユーザーへの差額の返還は想定されていない。

 ユーザーから、これだけ巨額の資金を徴収する以上、不透明な管理・運用を許さない、制度的保証が不可欠である。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040822ig91.htm