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漢方薬の原材料となる生薬のうち11品種121サンプルについて厚生労働省の研究班が調べたところ、半数近くの56サンプルから残留農薬が検出されたことがわかった。生薬には一部を除いて薬事法に基づく農薬の残留基準がない。ただちに健康影響が問題になる濃度ではなかったが、広範囲で検出されたことで、厚労省は農薬の基準値設定などの規制を検討している。
昨年6月に農民運動全国連合会が、4品種の生薬から農薬が検出されたと発表したのを受け、国立医薬品食品衛生研究所の合田幸広・生薬部長を主任研究者とする研究班が発足。全体で200〜300品種あるといわれる生薬のうち、果実や葉など農薬が使われやすい11品種を対象にした。全国8カ所で市販されている生薬を選び、有機塩素系農薬など3系統の残留量を調べた。
薬事法で決められている農薬の残留基準値がある生薬は、強壮効果があるとされる薬用ニンジンや便秘に効くといわれるセンナ(マメ科の植物の葉や茎)など5品種だけで、DDTとBHCについては0.2ppm以下となっている。51サンプルはDDTが0.2ppmを下回っていたが、チンピ(ミカンの皮)、ビワヨウ(ビワの葉)など5サンプルでは0.2ppmを超えていた。
また有機リン系農薬が、鎮痛作用があるとされるカンゾウ(カンゾウの根)、滋養強壮効果があるといわれるサンシュユ(ミズキ科の果実)などの5品種31サンプルからみつかった。さらに、ピレスロイド系農薬も、ビワヨウ、解熱効果があるとされるケイヒ(クスノキ科の木の樹皮)、チンピなどの8品種26サンプルから検出された。
生薬は乾燥品でせんじて飲用する場合が多いため、摂取量は少なく健康への影響が問題になる量ではなかったという。
しかし、厚労省は「薬は体が悪いときに飲むので、基準値の考え方も食品と違ってくる」とし、農薬の規制対象にする生薬を何にするか、基準値をどう設定するかなどを検討することにした。
漢方薬の製造・販売会社でつくる日本漢方生薬製剤協会は「製品になった段階で、残留農薬の成分を自主的に検査する方法と基準を検討している」と説明している。(08/20 07:39)