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ある名簿業者のホームページでは、「弊社は個人情報保護法に従って業務を行っています」とうたっている。名簿販売コーナーには高額納税者リスト、学校の同窓会名簿からインターネットのアダルトサイト利用者、有料放送の入会者など驚くほど豊富なメニューが掲載されている。しかも、企業からの情報漏えいと推測される信販系、外資系カード利用者のリストが堂々と販売されている。
住所、名前、性別、生年月日、メールアドレスや口座番号などの個人情報の漏えいは、詐欺を目的とした架空請求など二次被害を引き起こす。総務省は、来年四月の個人情報保護法の全面施行を前に、プライバシー保護の点で医療、金融・信用分野と並んで、より厳しい対応が求められる情報通信分野で指針を策定した。
電気通信事業者を対象にした指針では、(1)情報を閲覧できる社員を限定し、アクセス記録を長期保存するなど監視体制を強化する(2)派遣社員とも秘密保持契約を結ぶ(3)漏えいが発生した場合は、本人に速やかに事実関係を連絡すると同時に、二次被害や類似事案防止の観点から可能な限り事実関係を公表する−などの点を明記した。
指針では、NTTのように通信設備をもつ会社だけでなく、インターネットプロバイダー(接続業者)や掲示板のサイト運営者なども「電気通信事業者」の対象とした。
放送事業者向けの指針も同様の内容だが、放送のデジタル化で視聴者参加型の双方向番組が増えることから、視聴履歴や口座番号の取得は、料金徴収など必要な場合にとどめるとし、情報取得に一定の制限を設けた。全放送事業者を対象にした指針はこれが初めて。
一方、個人情報漏えいの実態はどうなっているのか。
二〇〇一年四月から今年五月までの三年間で、国や地方自治体、民間事業者から三百七十八件の個人情報が流出し、その漏れた情報量は膨大だ。
ソフトバンクBBからは、住所、名前、メールアドレス、IDなど約四百五十万人分の情報が漏れた。NTTデータからは、不動産取引に絡む四千三百十二人分の情報が流出。シティバンクからも約十二万件分の情報漏えいがあった。
■情報漏えいで罰則強化論も
数人分の情報から何十万人分、何百万人分という大量の個人情報が簡単に漏れる。しかも漏れた個人情報が売買され、架空請求の材料に使われている。実際、三洋信販、ファミリーマートの場合は、漏れた情報が架空請求に使われる二次被害が起きた。
国、地方自治体や民間企業の情報管理体制にはまだ課題が多い。とくに民間では大量の情報が漏れている。総務省の幹部は、個人情報保護法に情報を漏らした個人を罰する規定がない点を指摘、「新法策定か現行法の改正で対応するのか、検討課題だ」と罰則強化論を示唆する。しかし、その効果は未知数で波紋も大きいだけに、慎重な対応が必要だ。
高度情報化社会では、セキュリティー対策が後手に回っている。まずは、個人情報の“自己管理”が最大の安全対策といえよう。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/dgi/20040819/ftu_____dgi_____000.shtml