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2004年08月18日(水) 19時32分

誤訳頻発、内柴や姚明の言葉が「引退宣言」に変わる朝日新聞

 202カ国・地域から1万500人のアスリートが集まると、困難を極めるのが言語の問題。誤訳をきっかけに、とんでもない誤報が世界を駆けめぐっている、とロイター電が伝えている。

 公式ホームページの選手名鑑で男子選手が「女子」にされているぐらいなら愛敬ですむが、しゃれにならなかったのはバスケット男子中国の姚明の「引退」騒動。1次リーグ初戦でスペインに大敗した後の「代表チームに失望した。引退したい」との言葉は、米NBAロケッツのスターだけに大きく取り上げられた。ところが、李元偉チームリーダーによれば「彼と話をしたが、引退するなんて言った覚えはまったくないそうだ」。

 柔道男子66キロ級で優勝した内柴正人(旭化成)も同じ目にあった。「これが最後の試合になってもいいぐらいの気持ちでやった」という発言が、通訳を通ると「これがたぶん最後の五輪だから、勝ててうれしい」と「引退宣言」に変化してしまった。まだ26歳なのに。

 人の生死に発展してしまったのがサッカー男子・韓国の金東進。ギリシャを相手にゴールを決め、「アテネに来る前にがんで母が死んだ。亡くなる前にゴールを決めると約束してきた」と涙ながらに語った。ところが公式情報システムは「がんにかかっている私の母にこのゴールをささげたい」。亡くなったお母さんをよみがえらせてしまった。

 バスケットのセルビア・モンテネグロのオブラドビッチ監督は、あまりに低レベルな通訳に怒り、記者会見場を退出した。「通訳はむちゃくちゃだ。オリンピックで自分の母国語でしゃべるのは、私の権利だ」

 匿名を条件にある組織委員会の役員は話した。「要するに我々は、なーんにも知らないんだ」

(08/18 18:55)

http://www.asahi.com/sports/update/0818/133.html?ref=rss