2004年08月11日(水) 20時08分
WinXP SP2のリリースで取り沙汰されるIEの行方(CNET Japan)
Microsoftのウェブブラウザ「Internet Explorer(IE)」の新バージョンが今週リリースされる。同社がIEに大幅な変更を加えるのは約2年ぶりのことだ。
Windows XP Service Pack 2(SP2)の一部であるこの新バージョンは、主としてここ数カ月で明らかになったセキュリティに関する一連の欠陥を修正することに焦点をあてたもので、またいくつかの機能も追加されている。
だが、ブラウザ市場の競争が激化し、またMicrosoftが顧客に詳細なフィードバックを呼びかけていることなどから、IEにはもっと大規模なアップデートがあるのでは、との憶測がネット上で飛び交っている。同社がこの前にIEの大型アップデートをリリースしたのは3年前のことだが、ウェブ開発コミュニティでは、同ブラウザのアップデートのペースが遅いため、オンラインでの技術革新が遅れている、との声が高まっている。
ニューヨーク州ロングアイランドのRobert Dumasは、「ほかのブラウザは最近6カ月間ですべてアップデートされたが、Internet Explorerは3年もアップデートが出ていない。Microsoftのような企業が、最も機能の乏しいブラウザを出しておくべきではない」と語った。同氏はフリーランスのウェブ開発者で、Microsoftに新機能を要求する多数のユーザーの1人だ。
しかし、同社は今週、Internet Explorerの新バージョンは次期Windows「Longhorn」のリリースまで計画がないことを重ねて強調した。
Microsoftの広報担当者は、「現時点では、新しいスタンドアロン版のIEをリリースする計画は全くない。現在の計画では、Windowsの大型バージョンのリリースに合わせて、IEに新しい機能を追加することになっている..... Windowsのリリースに合わせてIEのアップデートを出せば、導入やサービスの回数が減り、顧客の利益につながる」と話している。
MicrosoftのInternet Explorerは、America Onlineが1999年初頭にNetscapeを買収した直後から、ネットの世界を独占してきた。これについて、IEの独占で競争がなくなり、ほかのプラットフォームが伸び続ける中で、ウェブブラウザ技術だけが停滞する結果となってしまったという批判もある
Microsoftはこうした批判に反論し、ブラウザはもはや単独で動作するソフトではなく、またエンドユーザーにはすぐにはわかりづらいブラウザの機能をはじめ、Windows全体で相当な数の革新的技術が追加されているとしている。
この前にInternet Explorerの大型リリースがあったのは2001年のことで、この時にバージョン6.0が登場した。その後2002年にはWindows XP Service Pack 1のリリース時に小規模なアップデートが行われ、そして今週また新たな変更が加わることとなった。
バージョン7.0の登場時期は?
「Windowsとの同時リリース」という同社のメッセージは何年も前から変わっていない。だが、最近浮上したいくつかの要因から、Microsoftが結局はLonghornを市場に投入する前に、IEのバージョン7.0投入に動くのではないか、との憶測が流れ始めている。
強力な検索機能をはじめ、各種の新機能が搭載される見通しのWindowsの新バージョンについては、リリーススケジュールが何度も延期されてきた。現時点では2006年の発売が見込まれているが、これに合わせてIEの新バージョンを出すとなると、丸々5年も間が空いてしまうことになる。
IEでセキュリティ上の欠陥が見つかる回数が増えたため、一部の開発者や、U.S Computer Emergency Readiness Team(US-CERT)といった知名度の高い組織でさえ、消費者に対して別のブラウザの利用を検討するよう求めている。
このような懸念から、Mozilla Firefox、Opera、Apple ComputerのSafariといった新しいブラウザが評判を高めることになった。調査会社のWebSideStoryによると、ごくわずかではあるものの、今夏にIEのマーケットシェアが数年ぶりに低下したという。
一方、Microsoftの開発者らはInternet Explorerの問題に関するウェブログを公開し、ユーザーに対してフィードバックを送るよう呼びかけている。
Longhornの技術エバンジェリストで、先日Internet Explorerチームに異動してきたDave Masseyも、ブログを公開して注目を集めている開発者の1人だ。少なくとも同氏は、スタンドアロン版が間もなく登場するといった話を抑えようとしている。同氏は、Longhornのベータが来年に予定されており、これと別にブラウザを開発する時間などないと説明している。
6月の後半、Masseyは自らのブログに、「今のところ、Longhornの一部として組み込む以前にInternet Explorerの新バージョンをリリースする計画はない。Windows XP SP2を完成させたチームは、Longhornに搭載する素晴らしいブラウザについて検討を開始することになる。現在集めているフィードバックが非常に有益なのはこのためだ」と書き込んでいる。
いずれにせよ、Microsoftにとっては、無償で提供する製品の新バージョンをリリースするメリットはあまりない、とアナリストは述べている。
Directions on Microsoftのアナリスト、Matt Rosoffは、「Internet ExplorerはMicrosoftにとって戦略的に重要な技術ではない。企業にはOutlookやOfficeなどを使って情報にアクセスしてもらった方が彼らにとっては好ましい」と話している。
新しいIEでの改良点
今回の改良でIEの外観はあまり変わらないが、なかにはユーザーがすぐに気付くような変更も含まれている。最新版での主な改良点は以下の通り:ほとんどのポップアップ型広告の表示を防ぐ、ポップアップ防止機能。Outlook 2003にあったような「インフォメーションバー」。これまでのポップアップ型のダイアログボックスに代わって、この「インフォメーションバー」が表示され、ダウンロード中のファイルや、中止されたポップアップ、バックグラウンドで行われているそのほかの活動をユーザーに知らせるようになる。スパイウェアやアドウェア作成者が頻繁に使うアドオンプログラム「Browser Helper Object」に対して、より適切に対処し、ユーザーに通知する機能。これまでに存在が確認された欠陥を修正する一連のセキュリティフィックス。
最新のブラウザを含むSP2は、Microsoftのウェブサイトで公開されている。ここで入手できるのは、管理者が複数のコンピュータをアップデートする際に利用するバージョンだ。個人ユーザー向けのリリースは、同社のオンラインアップデートサービスを通して、数日〜数週間後から提供される。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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