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2004年08月10日(火) 15時43分

行政側にも課題残す 安心して届け出可能な仕組みを 浅田農産事件

 【視点】食の安全に対する信頼を裏切り、全国に風評被害を拡大させた浅田農産船井農場の鳥インフルエンザ事件。通常は公判請求されることのない家畜伝染病予防法違反罪での裁判そのものが、事件の社会的な影響の大きさを物語っていた。
 感染の疑いを隠したまま鶏を出荷したうえ、日報を改竄(かいざん)した隠蔽(いんぺい)工作など一連の悪質な行為の責任は厳しく問われて当然だ。だが、背景にあった感染農場への補償の不備など行政側が取り組むべき課題も残っている。
 事件後、国は家畜伝染病予防法を改正。届け出義務違反の罰則の上限を三年の懲役または罰金百万円に上げ、措置を怠った業者には家畜の殺処分の手当を支払わないペナルティーを加え、再発防止を図った。
 しかし、感染農場に対する新たな損失補填(ほてん)は盛り込まれず、ひとたび感染すれば築き上げた市場をたちまち失うという「死活問題」に直面する状況に何ら変化はない。
 事件後、独自に補助制度を設けた京都府の山田啓二知事が「業者が安心できる制度の整備こそが感染拡大を防ぐと思った」と指摘するように、業者が安心して届け出ができるシステムも不可欠だろう。
 国内の鳥インフルエンザは、なお感染経路や媒介がはっきりせず、予防ワクチンの使用も認められていない。冬季に再発する可能性は、いぜん消えていない。
 公判では、迅速な通報と情報開示の重要さが指摘された。食の安全を確保するため、食品関連業者すべてに判決の意味をかみしめてもらいたい。同時に、行政には感染農場が安心して届け出られるような補償制度の整備を求めたい。(京都総局 和田隆博)(産経新聞)
[8月10日15時43分更新]

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040810-00000027-san-pol