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[犯罪情報]「重要なのは『きめ細かく、迅速に』」
これまでの警察に不足していた発想である。治安の維持は住民と協力して取り組むべきもので、そのために、住民が必要とする犯罪情報は積極的に提供していく、という考え方だ。
大阪府の能勢町で先月、二人の女子児童が車で連れ去られそうになった事件は容疑者が小学校の教諭だったことも驚きだったが、住民への犯罪情報の提供という面でも、画期的だった。
事件の翌日、能勢町に近い池田市が、電子メールによる犯罪情報の緊急配信システムを使って、被害者が記憶していた犯人の人相や車のナンバーを住民に知らせ、逮捕に役立てた。従来なら、全く情報提供しないか、チラシなどで協力を求めていたケースである。
池田市の緊急配信システムは、大阪府警と全面協力して、六月からスタートした。身近な犯罪情報を住民に提供し、住民からは不審者情報などを通報してもらおうというものだ。
このケースだけではない。自治体とも連携し、電子メールやインターネットのホームページを活用したり、小中学校に一斉にファクス送信する手法で、犯罪情報を提供する警察が増えている。
主に、子供を狙った強制わいせつや略取誘拐、ひったくりや路上強盗など、連続して発生しやすい事件の情報や不審者の出没情報などだ。
背景には、警察庁が昨年末、情報を積極提供するよう、全国に通達を出したこともある。十二歳の少年による長崎市の幼児誘拐殺人事件も教訓となった。類似事件がありながら、情報を住民に知らせていなかったからだ。
問題は情報の質だ。具体的な手口や犯人像、自衛策など、住民が真に必要とする、役立つ情報でなければならない。より迅速に、きめ細かく提供するよう、常に工夫していくことが重要だ。
埼玉県警や広島県警は、情報提供専門のポストを設けた。そのための要員が増えても、犯罪抑止につながれば、結果的に警察組織全体の省力化にもなる。
地域の防犯意識が高まり、住民の側からも事件や不審者の情報が提供されるなら、検挙率の向上も期待できる。
電子メールやホームページ情報は、誰もが利用するわけではない。地域の掲示板なども活用していくべきだ。地域で増えているコンビニを情報提供の拠点にすることも、一考に値する。
次々と新しい手口の犯罪が出てくる中で、犯罪情報の提供は、まだまだ不十分だ。外国人犯罪や悪徳商法などについても、被害が少ない段階から、警戒情報を出していく必要がある。