2004年08月04日(水) 03時07分
NHK「公金」認識低く 甘いチェック、隠蔽体質も(産経新聞)
不祥事発覚が続くNHKで三日、今度は元ソウル支局長による不正経理が明るみに出た。しかも当事者本人を最近、当時と同じポストに戻すという常識外の人事異動まで行われていた。金銭がらみの不祥事は先月末のチーフプロデューサーによる制作費着服以来、すでに四件目。受信料という“公金”への認識の低さや一般の感覚とのずれが、身内への甘い処分と隠蔽(いんぺい)体質の根底にあることが改めて浮き彫りになった。
「“お役所体質”が出ている」。一連の不祥事について放送批評懇談会の志賀信夫理事長はこう断じる。
受信料を中心とする収入は、自治体のように予算という形で毎年計上される。そのなかで仕事をするNHK職員には、「民間企業のように費用対効果を厳密には考えず、ドンブリ勘定の感覚が抜けきらない」という。
会計検査院の検査を受けているとはいえ、組織内のチェックは甘く、いざ問題が起こると、組織防衛のために事実を隠す。「紅白歌合戦」を手がけた元チーフプロデューサーによる約四千八百万円の不正支出のほか、編成局エグゼクティブプロデューサーら二人による約三百万円のカラ出張など、これまで発覚した四件とも、組織内部では不正が分かっていても調査や内部処分をしなかったり、処分を公表していなかった。
不祥事の公表基準についてNHKは、「ケース・バイ・ケース」(経営広報部)とあいまいな回答だ。
志賀理事長は、「職員のなかに、『悪いことをしても最後は守ってくれるだろう』という意識があってはならない。それを払拭(ふっしょく)して再発を防止する近道は、きちんと事実関係や処分を公開することだ」と指摘する。
今年度、事業収入の97%にあたる六千五百五十億円が、受信料でまかなわれている。多くの視聴者は、法律に規定されている受信料を“税金”を納めるような気持ちで払っており、NHKには「受信料を飲み食いに使ってもらっては困る」といった苦情が相次いでいる。
海老沢勝二会長は三期目に入る際、受信料の据え置きと経費節減の継続を宣言した。不祥事隠蔽には「発覚による受信料の徴収率低下」への懸念を指摘する声もある。視聴者が納得できる自浄システムを構築するのが何よりも急務といえる。(産経新聞)
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