2004年08月03日(火) 17時50分
[〒を訪ねる・かごしまの郵便局]入来郵便局 信頼関係で詐欺防ぐ /鹿児島(毎日新聞)
6月1日昼前。入来郵便局の窓口になじみ客のおじいちゃんが現れた。「孫に金を送らなくてはいけない」。いつになく慌てた様子で繰り返す。その額200万円。応対した職員の四元宏明さん(28)は不審に思い、局長代理の田渕雅久さん(48)に話をつないだ。
「娘に孫から電話が入ったんです。『お母さん、すぐにお金を送って。でなければ、このまま車で東京に連れて行かれる』って」。訳を聞いた田渕さんにおじいちゃんが語る。田渕さんは「もう一度、娘さんやお孫さんに確認された方がいい」と説得して帰した。
間もなく戻ってきたおじいちゃんは「ちごた(違った)。娘が連絡取ったら、孫は『今仕事中』じゃって。助かった」。局は川内警察署に連絡。そして7月、オレオレ詐欺を未然に防いだとして、田渕さんに署から感謝状が手渡された。
急増するオレオレ詐欺や架空請求被害。事件の未然防止は局員の新たな使命となっている。同局では朝礼の度に注意を促していたのが奏功。田渕さんは「おじいちゃんに経緯を順序立てて確認すると、被害例とぴったり重なった」と話す。
だが、客のプライバシーに踏み込むことには慎重さも求められる。局長の米森寿美男さん(49)は「普段からお客さんと会話を交わすなど信頼関係を築くことが大切」と自認する。「そうすれば、いざという時、『実は』と打ち明けてくれる」
職員17人が汗を流す同局。昨年11月に温泉場から国道328号沿いの新局舎に移転した。ピカピカの職場で、お客さんを犯罪から守ろうと職員一丸となっている。【藤野智成】
8月3日朝刊 (毎日新聞)
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