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2004年08月02日(月) 08時01分

厚労省、「当然の仕事」に監修料 1人年100万円超朝日新聞

 厚生労働省職員らに監修料名目で報酬を支払うための実体のない「迂回(うかい)団体」の存在が浮上した。国民健康保険のコンピューターシステム開発業者らが作った「国保事務電算化研究会」。事務所とされる場所に届いた郵便物は厚労省に転送されていた。監修料とされたのは、同省の公務に関連したアドバイスに対する支払いで、業者側は「よくない慣習だと思うが、支払いを拒否することもできない」と話している。

 研究会の所在地は東京・平河町の砂防会館ビル5階にある全国市町村保健活動協議会の部屋になっている。しかし、郵便受けにも部屋の表札にも研究会の名はない。

 この協議会は主に保健師が会員。その役員は研究会について「事務所の所在地は貸しているが、文書連絡があるだけ。中身は分からない」。研究会あての郵便物はすべて厚労省の国民健康保険課に転送しているという。

 国保課職員の一人によれば、研究会は、市区町村が同課に国庫補助を申請する際にデータを入力するためのソフト開発を手がけるが、実態はよく分からないという。同課長だった一人も「研究会の名前も聞いたことがない」と話す。

 市区町村は、国庫補助の申請の際、データをフロッピーに登録して国保課に出す。データ入力ソフトはそのために必須で、必ず業者から購入しなければならない。

 業者は、国保の制度改正があるたびにシステムを更新(バージョンアップ)させる必要があるため、その都度、厚労省のある東京・霞が関の近辺に会議室を借りて、国保課の職員たちに集まってもらう。制度改正をシステムにどう反映させるかについてアドバイスを受ける。

 業者によると、職員への謝礼は数日で一人あたり10万円程度。10人に来てもらうと1カ月に100万円くらいになる。実際に年間で一人あたり100万円以上が支払われている。制度改正が大規模な年には、ほぼ毎月のように勉強会が開かれるが、これらの謝礼を監修料として同課庶務係にまとめて支払う。

 国保課の元職員の一人は「毎年改正があるわけで、省としては当然、改正に伴うプログラムを作ってもらう必要がある」と話す。システム更新への助言は国保課の当然の仕事だという。自らも含めて監修料が支払われていたことは知らなかったとしている。

 業者は「監修料をもらえると思っている公務員が中にはいるということ。よくない慣習だと思う」と話している。

(08/02 08:01)

http://www.asahi.com/national/update/0802/012.html