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虐待を受けたと疑われる子どもが脳死状態や重度障害になったケースの大半で、親が医師にうそをついていたことが、日本小児科学会の全国調査で分かった。親らが虐待を告白した先は医療者よりも警察の方が多く、医師だけで虐待を見抜くのが難しい実態が浮き彫りになった。
全国の病院の小児科や救命救急センター計65施設にアンケートを送り、29施設から45の虐待例について回答を得た。当初事情を聴いた父親19人のうち16人、母親23人のうち19人が、医師に虐待の事実を偽ったり知らないと答えたりしていた。
親らが虐待を告白した先は、警察が12例、医師や看護師らの医療者が9例で、半数以上の例ではっきりとした告白がなかった。医師は、不自然な外傷や他人からの目撃情報、入院中の親子の様子などをもとに虐待を疑っていた。
調査は、家族の承諾だけで子どもからの脳死臓器提供ができるとする自民党調査会の臓器移植法改正案を受けて実施された。調査結果を受けて学会では、虐待対策の専門医の養成や、医療機関内の委員会の整備、ケースワーカーらをまじえた地域の公的専門家チームの設置などを訴えている。
調査をまとめた谷澤隆邦・兵庫医大教授(小児科)は「現状のままでは虐待で脳死になった子の見逃しが生じてしまう。子どもの脳死臓器提供の有無にかかわらず、虐待を見抜くしくみをもっと強化するべきだ」と話している。
(08/01 10:15)