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足利銀行では、定期的に行員の勉強会を開いたり、各支店に最近の事例をメールで送るなどして、注意を呼び掛けている。そのかいあって、本店には毎月、各支店から「おれおれ詐欺を防いだ」という報告が上がってくる。
ある支店では、窓口で振り込もうと焦る被害者を、いったん応接室に通し、茶を飲ませて落ち着かせた例もあるという。結局、家族に連絡を取って被害を防いだ。
同行担当者は「被害者に、いったん冷静になってもらうことが重要」と分析する。被害者の多くは、家族が困難な状況に置かれていると思い込み、判断力が落ちているからだ。
また栃木銀行は、今年に入ってから十件の被害を防いだ。雀宮支店では、行員が「家族に確認した方が良い」とアドバイスすると、被害者は怒って帰宅。行員は被害者宅を訪問してまで確認するよう求め、だまされていたことが分かった。
ただし、「職員がおかしいと思っても、細かくせんさくするとお客さまに失礼になる」(複数の金融機関関係者)のも事実。被害者が「絶対に家族からの電話だった。早く振り込んでくれ」と強く求めて手続きをし、後でだまされたことが発覚したケースも多い。
さらに、被害者が現金自動預払機(ATM)を使った場合、防止は一層、難しくなる。
栃木銀行では、ATMの近くに控える行員が携帯電話で話しながら振り込もうとしている人や焦っている人などに対し、積極的に声を掛けるようにしているという。実際に、ATMの近くの職員が、多額の現金を振り込もうとしている高齢者に声を掛け、被害を防止した。
足利銀行でも、被害者が「ATMの使い方が分からない」と職員を呼んだ際に事情を聴き、被害を防止した例はある。
しかし、カードだけで済む口座振り込みや、行員がいない時間帯や出張所で振り込んだ場合は、防止の手だてはない。
県警は五月、おれおれ詐欺の注意を呼び掛けるポスターを目立つ色に変え、各金融機関や出張所に張り出してもらった。それでも、被害が減っていないのが実態だ。
このため金融機関は、ATMの待ち受け画面や、画面脇のスペースなど目に付く場所で注意を呼び掛ける対応も検討し始めている。
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県警捜査二課のまとめでは、ことし上半期(一月−六月)の電話詐欺は二百五十六件発生。このうち、実際に現金を振り込むなどしてだまし取られた既遂事件は八十九件で、被害額は約一億六百万円。昨年一年間(既遂百九件、被害額約一億千三百万円)の被害に、半年で迫る勢いだ。
未遂に終わった百六十七件のほとんどは、被害者が、自分で家族らに確認していた。金融機関で振り込む直前に職員の機転で防いだケースは少ないという。
同課は「振り込む前に、とにかくもう一度、家族に確認を」と呼び掛けている。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tcg/20040801/lcl_____tcg_____000.shtml