2004年07月31日(土) 14時40分
中学校で生活に必要な法律授業、法務省が副教材作成へ(読売新聞)
中学生に社会生活で必要な法律について学んでもらうため、法務省は、契約の結び方や、悪徳商法への対処などを題材にした副教材を作成することを決めた。
文部科学省の協力を得て、2005年度から全国の中学校で本格的に導入したい考えだ。
副教材は、法務省が昨年7月に設置した有識者らによる「法教育研究会」(座長・土井真一京大教授)が今年秋に作成し、法相に報告する。
副教材に盛り込まれるのは、「憲法」と「司法」のほか、契約のあり方、悪徳商法対処などを扱う「私法(消費者保護)」、ゴミ収集場所に関する町内会規約などといった社会生活を円滑にするための合意形成を取り上げる「ルールづくり」の計4分野となる。
「司法」では、検察官や裁判官、弁護人の役割を紹介するのに加え、2009年5月までにスタートする裁判員制度にも触れる予定だ。
中学3年生を対象に、4分野でそれぞれ年間3時間の授業内容を想定している。法務省は、9月に都内の中学校などで模擬授業を行って、副教材づくりに反映させる方針だ。
同研究会は副教材に加え、法律教育に関する報告書を今秋、法相に提出する予定だ。この中では、〈1〉裁判官や弁護士らによる出前授業〈2〉学校教諭を対象とした司法研修——などの例を挙げて、最高裁、検察庁、日本弁護士連合会が法律教育に参加するよう求めることにしている。
現在の学校教育では、法律に関して、憲法の基本原理や、司法制度の仕組みといった抽象的な知識を教えることが中心となっている。一方、法の趣旨やルールづくりを理解させる指導が不十分だとの指摘が出ており、これが米国などと比べ、日本人の法律への関心が低い一因ともされてきた。
◆裁判員制度=殺人や傷害致死などの重大な刑事裁判の審理に、国民が裁判員として参加する制度。原則として、裁判官3人と裁判員6人が1つの事件を担当し、有罪か無罪か、有罪の場合の刑の重さを決める。裁判員には、職務上知り得たことについて守秘義務があり、違反すると罰則が科される。今年5月に裁判員法が成立し、5年以内に施行されることになっている。(読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040731-00000204-yom-pol