2004年07月30日(金) 15時47分
三セク強制捜査 産地偽装で大阪府警(産経新聞)
荷主依頼の有無追及
米国産ブロッコリーに価格の安い中国産を混ぜて米国産と偽って出荷するなど、大阪市の第三セクター「大阪港埠頭ターミナル」をめぐる輸入青果の産地偽装事件で、大阪府警生活経済課は三十日午前、不正競争防止法違反(虚偽表示)容疑で、大阪市港区の同社本社など関係先五カ所を一斉捜索した。担当社員三人がすでに事情聴取で偽装を認めており、府警は同容疑で立件する方針。今後、伝票などの資料分析で裏付けを進め、動機や経緯、荷主からの依頼の有無など事件の全容解明を目指す。
ほかに捜索されたのは、偽装現場とされる同社「A加工場」(同区)や下請けの青果包装会社「オー・エス・サービス」(同区)など。全国で相次ぐ食をめぐる偽装事件で、公的性格の強い第三セクターが強制捜査の対象になるのは初めて。
調べでは、ターミナル社の当時の青果営業課長(五三)ら三人は平成十四年三月上旬から中旬、A加工場で、荷主から預かっていた米国産ブロッコリーの段ボール約一千五百箱(二十数トン)から、約一万二千個(一箱平均八個)を抜き取り、代わりに市場価格が米国産より安い中国産を混入し「アメリカ合衆国産」と表示したまま荷主に出荷した疑い。このブロッコリーはスーパーマーケットなどで流通していた。
関与したとされる社員は、ほかに当時の課長代理(四六)と営業主任(三五)。当時の青果倉庫部長が、相談を受けたという疑いもある。実際の偽装は営業主任の指示でオー社の従業員が行ったという。
中国産ブロッコリーは十四年一月、厚生労働省の調査で基準値を上回る残留農薬を検出。当時、在庫がだぶついていた。
課長ら三人はこれまでの府警の聴取に「傷物になった米国産ブロッコリーの穴埋めで中国産を詰めた」などと偽装を認めている。荷主からの依頼についても大阪市の調査などで認めているが、荷主側は否定している。
ターミナル社をめぐっては平成九年ごろから、ブロッコリーのほかにも、ミカンやカボチャ、パプリカなどの産地偽装や野菜の横流しが行われていた疑いもある。府警は偽装などが長期にわたり日常的に行われていたとみており今回の捜索を突破口に、詐欺容疑などでの立件も視野に入れ、捜査を進める方針だ。(産経新聞)
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