2004年07月29日(木) 23時34分
業界団体、法務省からのネット書き込み削除要請に関して指針案を策定(impress Watch)
プロバイダーの業界団体などで組織される「プロバイダー責任制限法ガイドライン等検討協議会(以下、検討協議会)」は29日、法務省からインターネット上の書き込み削除を求められた場合の対応方法をまとめた指針案を作成した。30日より約1カ月間、Webサイト上でパブリックコメントを募集し、最終決定する予定だ。
検討協議会では、2002年にプロバイダー責任法施行にあわせて、プロバイダーの情報削除に関するガイドラインを作成したが、法務省からの削除要請に関する明確な対応方法を明記していなかった。今回作成されたガイドラインは、法務省からの削除要請への対応に関して明確化し、推奨される対応などを明記している。
具体的には、法務省からの削除要請に対して、「受付時の注意点」「削除措置の検討」「削除しないとした場合」の3種類にわけて対応方法が記載されている。受付時の注意点では、「法務省人権擁護機関からの要請であること」「侵害情報等の特定」「侵害されたとする権利の特定および権利侵害の理由が明白であること」という3つの条件を必ず満たした上で、要請を受け付ける必要があると明記。また、原則として書面での受付のみとし、緊急性が高い場合にはFAXで受信後、法務省に電話連絡し、事後的に書面を受け付けるなど、手続き方法に関しても慎重を期す必要があるとしている。
また、検討材料として、削除要請に応じることができない理由を記載。以下の理由に該当する場合には、要請を断ることが可能であるが、その場合には弁護士などの専門家に相談の上で対応方法を決定することが望ましいという。
・法務省人権擁護機関からの要請であることが確認できないとき
・法務省人権擁護機関からの示された場所に侵害情報がないとき
・侵害されたとする権利が特定されていないとき
・ガイドラインに示した判断基準に照らして、他人の権利を侵害したとする情報の違法性が明白ではない場合
また、削除要請を断る場合には、「理由を記載して、法務省に速やかに通知することが望ましい」とも記載している。
法務省による削除要請は法的強制力を持たないが、検討協議会では「最終的には裁判所によって判断されるものである」と前置きした上で、「削除のために最小限度の措置を講じても、書き込みを行なった発信者への損害賠償責任は免れることができる場合もある」としており、要請を尊重することを推奨した。
検討協議会によると、法務省人権擁護機関が削除要請を行なった例は、最近では「いわゆる佐世保市女児殺害事件の加害児童のプライバシー関連情報が多数掲載された事案」や「イラク邦人人質事件被害者の住所が掲載された事案」などが挙げられている。
関連情報
■URL
プロバイダー責任制限法ガイドライン等検討協議会
http://www.isplaw.jp/
( 大津 心 )
2004/07/29 16:29(impress Watch)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040729-00000027-imp-sci