2004年07月29日(木) 08時49分
深セン:カメラ付き携帯の盗撮増加で法整備加速(サーチナ・中国情報局)
中国では、カメラ付き携帯電話が普及し始めており、その弊害として盗撮行為がまん延。女性のプライバシーを侵害するような写真を撮り、インターネット上にばら撒くという悪質行為が多発している。28日付で新聞晨報が伝えた。
深セン市法律援助センターの王麗・副主任らは、カメラ付き携帯電話による盗撮被害に対応するため、2004年3月に「プライバシー保護のためのカメラ付き携帯電話使用制限に関する議案」を同市の市議会に相当する人民代表大会(人代)に提出。この議案は、市政府の関連部門も注目している。
これを受けて、同市政府では、プライバシーや肖像権を侵害された場合の精神的苦痛に伴う損害賠償請求を法的に認めることと、カメラ付き携帯電話の使用制限をめぐる法律の整備を目指して研究を重ねる方針だ。実際、カメラ付き携帯電話での写真撮影により被害を受けることになる場合、そうした場所の管理者は、法律の範囲内で自主的に使用制限を設けることが許可されるなど、動き出している。
現在、カメラ付き携帯電話による盗撮の現行犯に立ち会ったとしても、写真を削除できるだけで、処罰はできない。深セン市公安局治安管理所法制科の郭立峰・科長も「カメラ付き携帯電話による盗撮は新手の犯罪であり、対処経験も根拠とすべき法律もない」と困惑する。しかし、深セン市公安局は王・副主任の提案を受け、公安部に対して盗撮行為を治安管理違反とするよう上申している。
なお、被害にあった場合に裁判を起こすことが可能かどうかについて、王・副主任は、証拠提出の難しさがネックだとする。また中国の民法にはプライバシー保護がうたわれているが、刑法では「盗撮」に関する明確な定義がないことも問題になる。
深セン市のような法整備の動きは、中国では初めて。香港でも「盗撮」罪はなく、そうした行為に対して、軽微な刑罰に処せられるか、社会奉仕活動に服すればよく、犯罪に対する抑止力はほぼ皆無。そのため現在、公序良俗違反を適用し、最高で7年の刑を求刑できるよう提案されている。(編集担当:中村彩)
(サーチナ・中国情報局)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040729-00000009-scn-sci