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2004年07月27日(火) 15時14分

ヤミ金融が103億円日本還流を計画…口座凍結で頓挫読売新聞

 指定暴力団山口組旧五菱会系ヤミ金融グループによるマネー・ロンダリング(資金洗浄)事件で、同グループが、海外に不正送金した総額約103億円の違法収益を、ペーパーカンパニーを利用して日本に還流させようと計画していたことが27日、警視庁の調べで分かった。

 資金洗浄の指南役だったクレディ・スイス(CS)香港元行員、道伝篤被告(41)が、実際に香港で複数のペーパーカンパニーを用意するなどの工作を進めたが、グループの最高責任者、梶山進被告(54)のスイス国内の銀行口座が凍結されたため、計画は頓挫したという。

 これまでの調べによると、梶山被告らは2003年2月、道伝被告と知り合い、違法収益のマネー・ロンダリングを依頼した。この際、道伝被告は「ペーパーカンパニーを使って商取引などを仮装すれば、海外に送金したカネを日本に還流させることができる」などと説明した。

 その後、道伝被告は、梶山被告らグループ幹部に対し、香港にある経営実態のない会社などのリストを示して購入希望の会社名を聞いた上で、1社当たり20万—30万円でブローカーから購入したという。

 これらの準備を整えた道伝被告は同年3月から7月にかけ、梶山被告らの違法収益のうち計約103億円を、個人名が表に出ない銀行間取引を装うなどしてCS香港に送金した。

 このうち約51億円は、スイス・チューリヒのCS本店に開設された梶山被告の口座に送金したが、最終的には全額をペーパーカンパニーに移し替え、商取引や融資などを装って日本へ還流させる計画だったという。

 ところが、同年11月にスイス検察当局が「資金の動きが不自然」として梶山被告の口座を凍結。CS本店もCS香港に対し、「(梶山被告らの)関連資産を受け入れることは出来ない」と警告した。

 このため、道伝被告らは計画を断念せざるをえなくなり、翌12月までに、CS香港に残っていた約52億円を、シンガポール国内のドイツ系銀行の口座に移し替えた。この口座は、道伝被告の知人で、香港で投資顧問業を営む米国人が経営する会社の名義だった。

 この約52億円の現在の行方は不明だが、道伝被告が用意したペーパーカンパニーを経由して日本に還流された形跡はないという。

 このため、警視庁はシンガポールからさらに別の国に資金が移された可能性もあるとみており、近く捜査員をシンガポールに派遣して資金の行方を確認する。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040727-00000406-yom-soci