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手術で第1助手を務めた男性医師(46)が、死亡した患者の遺族や報道機関に「手術でミスがあった」と内部告発したため、名誉を傷つけられたとして、日本医科大学(東京都文京区)と執刀医が、この医師を相手に1億3000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、東京地裁であった。林道晴裁判長は「遺族やマスコミへの情報提供に故意や過失はなく、不法行為は成り立たない」と述べ、請求を棄却した。
一方、男性医師側が主張した、大学病院の医療ミスと事後の隠蔽(いんぺい)行為については、他の医師の意見書などを踏まえ「真実とは認められない」と判断した。
問題となったのは、20歳代の女性患者への治療。97年12月、あごなどを骨折し、同大付属病院に入院した。あごの骨をワイヤなどでつないで固定する手術を受けたが、多臓器不全で亡くなった。男性医師は、遺族や報道機関に「ミスでワイヤが脳に刺さった」などと証言。マスコミに大きく報じられた。
判決は「手術中のレントゲン写真はワイヤが脳にかかっているように写っており、刺さったと男性医師が信じたことには相当の理由があった」と指摘。「証言は公益を目的としていた」とも認め、賠償責任を否定した。
判決に対し、男性医師の代理人の弁護士は「医師が内部告発することの正当性を認めた点は評価できる」と述べた。一方、日本医大広報課は「判決文を見ていないのでコメントは差し控える」としている。
男性医師は現在は同大を離れ、横浜市内で開業している。
この問題をめぐっては、死亡した女性患者の両親が01年5月、同病院を相手に約1億円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こし、係争中となっている。
(07/27 00:10)