2004年07月26日(月) 00時00分

ネットで水害情報を配信した佐藤雅人さん（朝日新聞・）

　７月１３日午前６時２３分。ネットに「三条市嵐南地区で道路が冠水した。ダムも洪水調整を行っている」と警戒第一報を書き込んだ。同９時４８分には、約１５００人の登録者に危険を伝える電子メールを配信した。同市が避難勧告を発令した１０時１０分より早かった。

　「ケンオー・ドットコム」は、三条市など県央地域の情報を発信するインターネットサイト。記事編集とウェブ管理をする佐藤さんと女性記者の２人で運営している。

　水害が発生した１３日は、早朝の第一報から深夜まで、被災状況や避難場所などの情報を更新し続けた。同日昼過ぎには「水害情報掲示板」も開設。この日だけで約２千件の書き込みがあった。普段２〜３千件のアクセス数は、４万３千件にまで急増した。

　災害は突然やって来るが、「このサイトを立ち上げた頃から、こんな日が来るような気がした」。

　「混乱した状況では、何よりもデマが怖い。今回は、正しい情報を早く提供することで住民の不安を取り除くことに専念した」

　インターネットという媒体は、テレビと違って活字が残り、新聞より速報性でまさる。が、１年３６５日、毎日サイトを更新し続けねばならず、休みはない。経営上の採算も厳しい。けれど「やめられない」。

　地元新聞記者だった経験をインターネットという新しい場で活用し、地域に役立っている自負が支えになっている。

　地域への貢献は「人生のお返しをしている感じ」という。「世話になった人の名は浮かぶが、世話した人の名は浮かばない。そんな人生のプラスとマイナスをチャラにしたいでしょ」。少し照れながら話した。

◆　６１年、燕市生まれ。日大文理学部を中退後、帰郷。三条市中心の地元新聞社で記者。９７年に退社。００年８月、地元紙他社の知人らに誘われ「ケンオー・ドットコム」立ち上げに参加。地元店の情報から火事、犯罪などのニュース、市役所情報など手広く掲載している。

（7/26）

http://mytown.asahi.com/niigata/news01.asp?kiji=6318