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2004年07月26日(月) 00時00分

米国BSE 輸入再開前にすべきは 東京新聞

 米国での牛海綿状脳症(BSE)発生後、途絶えている米国産牛肉の輸入再開交渉で、日米両国は一定の歩みよりを見せた。だが、合意されていない課題は多い。輸入再開はそれが解決してからだ。

 先の日米交渉で「若齢牛」について、現在の検査方法ではBSEの病原体である「異常プリオン」を検出できないことを両国は確認した。

 どんな病原体検査でも検出精度には一定の限界がある。ちょうど献血時の検査で、エイズウイルスなどに汚染された血液を完全に排除できないのと同様だ。これは科学的な事実である。

 わが国は、二〇〇一年秋にBSE感染牛が見つかって以来、すべての国産牛についてBSE検査を行ってきた。米国産牛肉についても、これを輸入再開の条件としてきた。

 この全頭検査は、科学的な根拠に基づいたというよりも、風評被害防止を理由に始まった経緯がある。消費者の不安が静まった今、検査のあり方を見直すことに異論はない。

 問題は、生後何カ月までを若齢牛とするかが決まっていないことだ。これまでにさまざまな見解が出されているが、全頭検査で月齢二十一、二十三カ月の感染牛が見つかっている以上、二十カ月を超える牛を若齢牛とするには無理がある。消費者の理解も得られないだろう。

 仮に二十カ月で線引きするとしても、それより若い感染牛が現在の検査方法で見つかっていないというだけで、検査方法が改善され、検査精度が向上した場合はどうするのかも不明だ。若齢牛ほどプリオンの量は少ないが、どれくらいの量なら体内に入っても安全か、その目安が示されない限り、常に安全・安心サイドに立って線引きすべきである。

 その場合、米国産牛の月齢をどう鑑別するかもはっきりしない。米国は「日本の要求する条件を満たしていることを証明できる」と説明するが、具体的にどのように証明するのか。月齢が正しく鑑別されていることを日本はどう検証するのか。それをはっきりさせなければならない。

 安全性確保の観点から、BSE検査と両輪をなす、と畜・解体時の脳や脊髄(せきずい)など「特定危険部位」の徹底的な除去についても、その担保、日本側による検証体制を明確にすることが不可欠だ。

 BSEが多発した英国との発生頭数の比較、英国から日本に輸入された牛由来の飼料の量などから推定すると、国内で人間がBSEに感染する危険性は予想よりもはるかに小さいことがこれまでの研究で明らかになっている。こうした事実も冷静に受け止める必要があるだろう。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040726/col_____sha_____002.shtml