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2004年07月26日(月) 17時35分

意外と不人気? 試行が続く小学生向けネットモラル教室ITmediaニュース

 半分が空席——7月24日、東京・渋谷の子ども向けIT塾「フューチャーキッズ」で開かれた、小学生の親子向け「親と子のネット安心教室」は閑散としていた。8組を募集し、定員ぴったりの応募があったが、出席したのは4組だけだった。

 長崎県佐世保市で6月、小学6年生の女児が同級生を刺殺した事件の背景に、ネット掲示板やチャットでの行き違いがあると報じられて以来、親子向けにネット上のコミュニケーションやモラルを教える講習会が注目を浴びている(関連記事参照)。親と子のネット安心教室もその一つだが、「マスコミや保護者からの反響は大きいものの、参加者は期待したほど集まらない」(フューチャーインスティテュートの佐々木氏)。

 「同じような教室を開いている所はどこも、人数集めに苦労しているようだ」と、NECのCSR推進本部社会貢献室のフィランソロピーエキスパート・山辺清和氏も話す。同社は1999年から、社員ボランティアとNPOによる小学生の親子向けインターネット安全教室を開いている。佐世保の事件以来参加者は増えたというが、それでも月1回の講習に参加するのは5−6組程度にとどまる。

 子どもにとって、休みを潰してネットの“お勉強”に行くのは、楽しいことではない。意識の高い親が、子どもを引っ張るように連れてくることも多く、「親が申し込んだ後、子どもの説得に失敗し、直前キャンセルというケースも少なくない」(佐々木氏)。

 来てくれないなら、こちらから行くしかない。NECは小学校に出向き、「総合学習の時間」などでネット安全教室を開いている。「これまでNECから申し出て講習させてもらうケースがほとんどだったが、佐世保の事件以来、学校やPTAからの依頼が増えた」(山辺氏)。1年に2校を目標に行ってきた活動だが、今年はすでに6校から申し込みがあり、まだ増えそうな勢いだという。

 ただ、小学校での訪問講習にも“壁”がある。「公立小学校で授業するには文部科学省や地元教育委員会などの許可が必要。たとえボランティアで講習を申し出ても、営利企業なため警戒され、なかなか許可が下りない」(佐々木氏)。

 NECはまず、同社製PCなどハードを納入している公立小学校から講習会を受け入れてもらい、スムーズな導入を図ったという。

■参加者の意識・目的もバラバラ

 実際の授業はどのようなものだろうか。7月24日、都内で開かれたフューチャーキッズとNECの教室に足を運んでみた。

 NECのプログラムは1時間30分、フューチャーキッズは1時間で、ともにネット上のコミュニケーションマナーを教えることに主眼を置く。チャットを体験させながら顔の見えないコミュニケーションの特性を学ばせたり、ネット上では簡単に正体を偽れることを実感させるのは両プログラム共通だ。

 NECの教室ではこのほか、ネット上で個人情報を公開しないこと、知らない人から誘いを受けたら親に確認してから対応を決めることなどを、メールや掲示板を実際に利用しながら教える。

 新聞広告や口コミなどで集まる参加者のレベルはバラバラ。タッチタイプができる子もいれば、始めてPCに触る親子もいる。得意な子どもは、チャットをさっさと終えて暇を持て余す様子な一方、初心者の子は、クリックやウィンドウの開け閉めといった基本操作にも時間がかかるため、講習の進度調整には骨が折れるようだ。

 参加目的もさまざま。ネットモラルの習得よりもまずPCの操作法を教えて欲しいという参加者も少なくない。

 教える内容にも気を遣う。ネットの危険な面を伝えながらも、ネット嫌いにはなって欲しくない。便利さや楽しさも同時に伝えようと、ネットで世界中の人々と会話できるといったメリットを解説したり、自由にチャットさせたりと工夫を凝らす。

 ネット上の危険から子ども達を守るためには、どこで、誰に、何を、どう教えればいいのか。ネット上の何を信じ、何を疑い、どうコミュニケーションすべきか。親子向けネット教室の現場では、試行錯誤が続いている。

http://www.itmedia.co.jp/news/ http://www.itmedia.co.jp/news/ (ITmediaニュース)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040726-00000001-zdn_n-sci