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2004年07月23日(金) 09時22分

東急車両製トレーラーのブレーキドラムに欠陥か朝日新聞

 国内大手の鉄道車両・特装自動車メーカー「東急車両製造」(本社・横浜市)が製造したトレーラーのブレーキドラムが走行中に破損する不具合が発生し、国土交通省が「重大な事故につながる恐れがある」として、リコールに当たるかどうか調査に乗り出した。ドラムは使用基準内の摩耗で破損しており、同省九州運輸局は「あってはならない」としている。全国から同様の破損報告がこの10年間で約40件あったが、同社は国交省に報告していなかった。

 ブレーキドラムが破損したのは、福岡県宮田町の運送会社「若宮運送」が90年に6台購入したコンテナ用トレーラー「TC404型」のうちの複数台。過去2年で9個のドラムに亀裂が入り、使えなくなった。今年4月には、トレーラーの走行中にドラムが二つに割れたため、最後部の右車輪のブレーキが利かない状態になったという。

 若宮運送が東急車両にドラム破損を連絡し、調査を依頼。5月に同社は「破損ドラムは現在の当社純正品と比較すると薄く、硬さの基準も満たしていないため、強度が低い。当社の純正部品である刻印もない」とする報告書を運送会社に送った。

 その後、運送会社とトレーラーを販売したディーラーが独自に調べたところ、同時期に販売された同じ型式の4台にも同じドラムが装着されていたことから、同社は報告書が結果的に「虚偽」で、破損ドラムが純正品だったことを認めた。

 同社は6月末になって国交省九州運輸局福岡運輸支局に報告書を提出。それによると、破損ドラムは摩耗具合が使用できる基準の1ミリ未満だったにもかかわらず、ブレーキパッドが当たる部分が摩擦熱で疲労し、亀裂や割れにつながった可能性が高いとしている。

 同様の破損報告は過去10年間で同社に約40件寄せられていたが、同社は使用者に「使い方によって壊れることがある」と返答し、国交省に報告するなどの対応は取っていなかった。報告しなかった理由について、同社は「重大な不具合とは考えていなかった」と話している。

 若宮運送の破損ドラムは東急車両が90年当時、韓国の鋳物メーカーに外注したもので、使用車種はトレーラー約120車種に上る。ドラムの厚さや硬さは、現在製造中の車両に使っている同社純正品の値を下回っていたが、同社が実施した引っ張り強度試験では日本工業規格(JIS)基準値を上回っており、「強度に問題はなかった」としている。

 福岡運輸支局は「重大な事故につながる恐れがあり、原因を調査する必要がある」との意見付きの報告書を今月まとめ、九州運輸局を通じて同省リコール対策室に送付。九州運輸局は「摩耗限度内でドラムが破損することはあってはならない」としている。

 同対策室によると、ブレーキドラムの破損によるリコールは過去に例がないという。

 同社特装自動車事業部の富田竹雄・設計部長は「純正品でないという判断は甘かった。反省している。構造的な欠陥が破損につながったかどうかの因果関係は、現時点では分からない」と話している。

 同社は東急グループの主要企業で、資本金約140億円。04年3月期決算での売上高は約500億円。

(07/23 09:22)

http://www.asahi.com/national/update/0723/008.html