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「みんな入ってますよ。安心だよって言われたから…」
この女性は、損保会社の代理店の営業職員に勧誘され、一九九七年から九八年にかけ、自分と夫(72)、長男(41)の三人それぞれについて、「介護費用保険」に一時払いで加入した。保険料は自分が約百一万円。夫が約八十五万円。長男が約二十七万円だった。
補償の内容は、要介護状態になり、在宅介護を受けている場合は月額十万円を支払う。また、病院での治療や介護施設に払った費用は、月額十万円までの実費を補償する。さらに臨時費用保険金として、介護機器購入や住宅改造の費用を百万円を限度に払うことになっていた。
二〇〇〇年から介護保険制度が始まったこともあり、今年六月、保険の内容を見直してみて、補償の条件に気付いた。補償は特約で「寝たきりのみ」とされ、痴呆は対象外。しかも、寝たきりの状態が百八十日を超えて続かないと保険金が出ない。死亡保険金がないのも不満だった。
解約したら、自分は払った額のほぼ半分の約五十四万円、夫は四分の一ほどの約二十二万円、長男は払った額より一万円増えて約二十八万円が戻ってきた。
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「寝たきりのみ、ということを十分に説明したはずですが…」と、この損保会社の広報担当者は言う。ただ、この女性が理解していなかったことは確かだ。
そもそも「介護費用保険」とは、どんな保険なのか。この損保会社の商品担当者は「八九年に発売した保険で、損保各社共通の補償内容です。予定利率(契約者に約束する運用利回り)が5%と高く、〇〇年ころ販売をやめました」と話す。
介護費用保険は、生命保険各社が生保の特約の形で先行して発売。その後、損保各社が単独の保険で売り出した。補償内容は横並びだったが「要介護の認定基準が、生保より損保の方がちょっと緩かった」という。
発売当時は公的な介護保険がなかったので、要介護状態は各社が独自に認定する。損保の認定基準は、現行の公的介護保険の要介護度でみると、「3と4の中間くらい」と担当者は言う。
寝たきりと痴呆、寝たきりのみ、痴呆のみという三つの補償パターンがあり、寝たきりのみにすれば、保険料が安い。解約したときや加入者が亡くなったときは、七十五歳まで返戻金が出る。
「基本的には掛け捨てですが、将来の保険料を前倒しでもらっている部分を返します。高齢になると要介護の可能性が高まるので、返戻金は急激に少なくなります」
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同社は、〇〇年から新しい「介護補償保険」を売り出し、予定利率は3%に下げた。さらに昨年三月から、医療や年金と組み合わせられる総合保険とし、予定利率は1・5%にしている。
この女性が入った保険は利回りが高いので、今の保険と比べると、同じ補償を受けるのに安い保険料で済むという利点がある。先取り保険料に高利回りがつくので、返戻金も多い。三十歳で一時払いして六十歳で解約すると、返戻金は払った保険料の倍になる場合もある。
一方、現在の保険は公的介護保険に連動しており、要介護度2以上に認定されたら、認定とほぼ同時に保険金が出る。保険金の額は以前より少なく、解約返戻金も出ないが、百八十日も待つ必要はない。要支援や要介護1という軽い状態でも一時金が出るなどのメリットもある。
家計の見直し相談センター(東京、名古屋、大阪)のファイナンシャルプランナー早川元子さんは「この女性は、解約せずこのまま入っていてもよかった。何のために入るのか、本人がよく理解する必要があります」と指摘している。
公的介護保険には利用限度額があり、賄えない分をカバーするのが民間の介護保険だ。力を入れている損保会社のうち四社の補償内容を比べた。
要介護の認定は、公的保険に連動している会社が二社、独自に認定しているのが二社。公的保険の要介護度にすると2以上で補償するのが三社で、一社は3以上だ。
いつから保険金が出るかをみると、連動型の二社は、要介護の認定と同時か、認定の状態が三十日を超え続いたら、認定日にさかのぼり支払う。独自型の二社は、要介護状態が九十日以上(または超)続いたら、初日にさかのぼって支払う。
各社の代表的な寝たきり・痴呆補償タイプで、保険金は月額四万−五万円。一時金が五十万−百万円。一時金は六十万円だが、要介護状態が一年続くごとに毎年三十万円を払う会社もある。保険料は三十−六十歳までの月払いの場合、月額三千四百円から六千百十円まで幅があった。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20040722/ftu_____kur_____000.shtml